ペンギン・ハイウェイのレビュー・感想・評価
全251件中、201~220件目を表示
平成最後の夏らしい作品
暑い日が続き、ベタベタと無駄な夏休みを過ごしたくはないと思いつつも、なにかグッとくるものがなくただ茫然と過ごしていた。そんな中、ふと引っかかったのがこの作品。ペンギンハイウェイだった。
予備知識もなく「まあ何もしないよりは」と半ばダメ元で見に行ったが、その内容は期待を裏切ってくれた。
ネタバレはしないが説明のために若干漏れがあるかもしれないのでご注意を。
<構成要素>
・全年齢対象 ・ペンギン ・小学生 ・お姉さん
・成長 ・青春 ・友情 ・謎解き ・感動 ・恋愛 ・SF ・ファンタジー ・アクション
<ストーリー>
ざっくり書くと少年の成長物語だが、SFでもあり、恋愛要素も入ってくる。ファンタジーであり、コメディでもあり、アクションでもある。全ての要素がかなり複雑に絡み合い、「結局何なの?」と聞かれたら、「うーん全部」と答えたくなる。それくらい“総合力が高い”と思う。ひとつの観点からしか描けないのではなく、どんな人にも面白いと思ってもらえるように、様々なテーマをカバーしていると言っていい。子供が見て楽しめる軽さと大人が見て楽しめる深さがある。
というか、大人が見ても理解できない部分が多く「???」となってしまう人も多いだろう。しかし注意してもらいたい。この映画の製作陣が本当に描きたかったのは、全ての謎を解き明かすミステリー童話なのかということを。私はそうは考えない。あくまで小学4年生の夏休みであり、そこから何を思ったり楽しんだりするかはそれこそ子供のように自由なのだと。ゆえに、これは製作陣からの挑戦状なのではないかと思う。「意味が分かりませんでしたね。残念。」などで終わったらそれこそつまらない。この作品に対して面白いと思うかはあなた次第だ。
<ペンギン>
題名にもあるように、この作品にはペンギンが出てくる。しかもいっぱい出てくる。数えきれないくらいに。そのかわいさと言ったら、この上ない。つるっとしたフォルム、透き通った目、ヨチヨチと歩くその姿。お子さんも話はよくわからないかもしれないが、ペンギンの可愛さだけは絶対に裏切らない。この動物にはそのようなすべての人の目を奪うモデル性がある。
<主人公:アオヤマ君>
アオヤマ君はまだ小学生である。小学生は作品や人物像によっては幼稚に描かれる年齢だが、この子は違った。確かに年齢は幼いのだが、誰よりも純粋な心の持ち主で、探求心がすごい。その探求心は、まさに男性なら夏休みの探検中に一度は思うであろう「この道の先はどうなっているのだろう」とか「この水はどこから流れてくるのだろう」とかそういう直感的なものだと思う。そのため、まるで自分が夏休みの小さな冒険をしているかのような気分になった。誰もが自分を重ねてしまう少年だと思う。
<お姉さん>
おっぱいがでかい。
<作画>
私はあまり絵に関しての造詣が深くないので細かいことは言えないが、いわゆる違和感といったものは全く無かった。終始安定して綺麗な絵を維持できていたと思う。しいて言えば、キラキラとした水の表現や、澄んだ目などの透明の表現がすごく良かった。少年の心の純粋さをよく表現できている。
<映像、演出>
特にカメラワークには驚かされた。具体的には言えないが、期待していい。また、落ち着くシーンと興奮するシーンのテンションの差がとても広く、落ち着いたシーンから一気に緊迫したシーンに移り変わるときのワクワクドキドキ感は最高。
<音楽>
かなりバランスが良かった。落ち着いたシーンではファゴットなどの木管楽器で心を落ち着かせ、緊迫したシーンでは弦楽器でテンションを上げ、壮大なシーンでは金管楽器を中心にバンド全体で世界の広さを表現していた。またヴィオラ?のセッションがかなり印象に残っている。文句なし。
<視聴者層>
見る前の印象では、20代の男性が多いかと思ったが、そんなことはなかった。家族連れが多く、年齢の幅はかなり広い。実際に私は映画館で観たのだが、右隣は子供が2人の4人家族で、左隣は2人組のご婦人だった。
観賞中には子供の笑い声が聞こえ、少し微笑ましかった。
<総評>
なんといっても見終わった後の心の満足感がすごい。心という器をなみなみを満たしてくれた。文句なしの100点だ。余談だが、いわゆる“おねショタ”好きであれば120点になりうると思う。
もし見ようか悩んでいる人がいたら、ぜひ公式サイトのプロモーションビデオを見に行ってくれ。そこで少しでも「いいかも?」と思ってくれたら、今すぐに見に行ってもらいたい。きっと君を爽やかで純粋な世界に連れて行ってくれるだろう。
ペンギンとお姉さんと過ごした夏の思い出。どこまでも透きとおり、少年時代を思い出させてくれる。そんなひと夏。
熱い夏の終わりをこの作品と一緒に過ごしてはみないだろうか。
お姉さんがすごくいい
不思議な映画
ペンギン・ハイウェイ
今年、自分の中でこれを超える作品は出てこないだろう。
売り方については少し疑問があった。
内容からして小学生が面白いと思うようなものではないと感じたが、だからこそ、小学生に、そして大人に見てほしい作品だった。
これはSFであり、論理的な思考をする主人公を主軸に物語は進む。故に、論理的思考に拒絶感を持つ人にとっては面白さに欠けたかもしれない。ただ、そこまで難しいわけでもないのが本作である。
主人公は、観察し、実験をする。そこにあるのは紛れもない客観的な事実であった。そして、その事実たちをどう結びつけていくかというのが本作品の中での謎、であり、それについてはしっかりと作品中に説明があった。その中で、考察が不十分な箇所があったかもしれない。ただ、忘れてしまってはいけないのは、これは少年アオヤマの出した答えであるということだ。少年はすべてを解明した訳ではない。彼はこの先、目標を果たすため、まっすぐとペンギン・ハイウェイを登っていくのだ。
アオヤマの周りの人間の変化というのも興味深かった。途中で子供と大人、そして個人としての対立があったが、少しはっとする場面がいくつもあったのを思い出す。そしてそこには必ず理由があった。そこが論理的な考え方をするアオヤマとの関わりとして、作品としてとても自然に感じた。
少しのいやらしさもない真っ直ぐな愛情というものを私はこの作品で見た。アオヤマの持つ純粋な知的好奇心は懐かしさを感じさせ、美化された思い出のようだった。
ともかく私は原作の小説を読んでみることにしようと思う。いや、読みたいといったほうが正しいだろうか。
平成最後の夏を捧げれる映画
最高の素材で、「名作の香り」はする
「ジュブナイル+SF+おねショタ」
フックとなる属性を散りばめ、夏の話題作とするべく映像にお金をかけた本作ですが、「そろそろ面白くなるかな?」と期待しているうちに時間だけが過ぎ、結局、面白みが十分伝わらないままに終わってしまいます。
本作は、今となってはいささか型遅れとも言える「セカイ系SF」に分類されるかと思いますが、この手の、「日常の隣にあるSF」を映像化する際のキモはキャラクターです。本作で言えば間違いなく「お姉さん」をいかに魅力的に描けるかが重要なわけで、作り手もそこは分かっているからこその蒼井優の起用なのでしょう。実際、お姉さんの作画は素晴らしい(胸だけじゃない、表情や髪のなびきや仕草すべて)。蒼井優さんの演技も個人的には完璧。にも関わらず、このお姉さんにイマイチ惹かれない。作りての思い入れというか、情念というか、あとひとつ何かが足りない感じです。
センスの良い美しい映像、お姉さんと少年の設定、センス・オブ・ワンダーなラストまで含めて、夏の名作になりえたポテンシャルは感じさせます。2次創作的にこの世界観を自分の中で広げられる人には、楽しめる作品かも知れません。
映画としては3.5ですが、お姉さんのおっぱいに★4つ。
昔見た「宮崎駿の映画」の匂いを感じる映画でした
よくわからん。
客観的には星3、個人的には星4のセンチメンタルジュブナイル。
120分の尺としてはヨーロッパ企画との再々タッグもあり大方原作に丁寧に忠実。
原作ファンも裏切られる事はないと思われる。
個人的に、当時原作を読んで思い描いた街並み、裏道、森、野原と近くそれだけで5億点。
人によっては、よく分からないってのも納得。
だって、当のお姉さんも良く分かってないんだから、分からないで良いかと。
自分は森見作品は半数位ですが読んでいて。
今作は太陽の塔、四畳半、夜は短し等のポンコツ大学生の作品とは違い、
話の大筋は理解したが、明確な答えを出さずに終わり「アレは何だったんだろう?」とふと帰り道に空を見上げて思いを巡らすパターンの作品だと思ってます。
そんな説明をすること自体野暮だか、そこが魅力の一つだと。
後は青山少年と共に時間をかけ仮説・研究するのみです。
それが駄目と言われたら乱暴だがもう好みの問題かもしれない。
でも、こうしている間にも庭をベランダをペンギンが歩いているかも。
それを紙一重で見逃しているだけかも。
ペンギンだけじゃ無く狸が人に化けて普通に歩いているかも。
そう考えると世界がちとオモチロくなる。
そんな膨らみを思わせてくれる。
理屈っぽい少年のひと夏の甘酸っぱくチョットばかしの成長を見守りながら、
青山少年が青年になり理屈をこじらせて四畳半に迷い込まぬ事を切に願う一作。
長編アニメ映画市場を意識し過ぎ?
長編アニメのドル箱マーケットが映画ビジネスにとって重要なことは理解できる。今作はそうした中で、ヒットを狙って作った感があり、あまり好感が持てなかった。かわいい動物と、おねショタと、爽やかな田園都市と、夏の終わりと、青春SFと、宇多田ヒカルと、売れそうな要素を薄味でごった煮た感じの演出で、これまでの森見登美彦原作のアニメーションがオリジナリティ溢れる名作続きだっただけに残念に思う。確かに湯浅監督作品と夏休み娯楽作としての本作を比較してしまうのは辛くもある。しかし、文学的な世界観の追求があってこそのストーリーのように思う。全体的に気持ちの良いアニメーションだか、細田っぽくもあるし、新海っぽくもあるし、エヴァに似た感じもするし、意図的なオマージュと思われるシーンもみられたが、音楽の使い方含めて、どこかでみたことある要素が多く新鮮な感動を得られなかった。これも何かの狙いがあってのことなのだろうか。アニメが重要マーケットとなったいま、過去の傾向と対策から、ヒットを当てに行くことも大事なマーケティング戦略なのだろう。そうした商業アニメーションの型から生じる窮屈さのようなものを本作に感じ、ジブリロス、「君の名は。」以降の、大衆アニメ娯楽作品づくりの難しさが透けて見える気がした。
お姉さんの出番が足りない
お姉さんとペンギン
あるいはペンギンでいっぱいの海
深い。。
全251件中、201~220件目を表示