「オッパイもペンギンもアオヤマ君もカワイイ」ペンギン・ハイウェイ 頼さんの映画レビュー(感想・評価)
オッパイもペンギンもアオヤマ君もカワイイ
とても面白かったです。清々しい気分で映画館を後にすることができました。
ペンギンハイウェイと言えば『おっぱい』が一人歩きしているイメージで、一時期「女性キャラが性的に消費され不快……」と話題になりましたが、今回観て「おっぱいが全くエロくない」「むしろとってもクリーン」という感想を持ちました。これが「性的!!」と思える人は、むしろ頭の中がエロいことでおっぱい、いやいっぱいのドスケベ人間だと思います。
なので家族で見ても気まずくなく、エログロは皆無と言えるお勧めな作品です。
この作品においての『おっぱい』は全く性的でなく愛おしい存在であるので、つまり『おっぱい』=『ペンギン』なのだと思いました。ご飯を食べないとおっぱいが痩せちゃう、これはつまりペンギンと自然との関係の象徴……今思いつきました。
この作品、主人公のアオヤマ君のキャラクターがとってもかわいくて魅力的です。ただの賢い子供ではなく、『お姉さんのおっぱいにとても興味がある』という要素が彼を魅力的なキャラクターにさせたのだと思います。アオヤマ君とお姉さんの、お姉さん圧倒的優勢なやりとりはクスクス笑えて最高です。
またアオヤマ君の声優さんが最高で、「ここまで魅力的な少年声が出せるなんて、とても研究されたんだろうな……」と感動します。ガチで選ばれた女優さんですね。
逆にいうと、アオヤマ君以外のキャラクターがどこかテンプレ的な淡いキャラクターが多かったのですが、全てアオヤマ君とお姉さんの引き立て役と思えば、限られた時間の中で邪魔にならなくて正解です。なので、アオヤマ君とお姉さんに魅力を感じないとキツいかもしれません。
お話は見ていて細かいツッコミどころはたくさんある作品かもしれませんが、半分夢の中にでもいるような話なので、そんなことはどうでもいいやー、と童心に返った様なピュア気持ちで観れます。
ただ一点、全体的にとっても楽しめたのですが、ラストにもう少しインパクトがあれば、さらに印象に残る素晴らしい作品になったと思いました。泣かせろ、とまでは言いませんが少し弱い終わり方です。
ですが、全体のクオリティは高く、どこかジブリを彷彿とさせる雰囲気もあるのでスタジオポノック作品と比較してしまうのですが、アニメ映画業界はこちらの方にお金をかけた方がいいのでは…と思います。
良いと思ったシーンは、アオヤマ君とハマモトさんとスズキ君が最初に揃うシーンで、一瞬にして彼らの恋の矢印がわかってしまう表現、ここは上手いなと思いました。
また、皆でチェス楽しむような小学生達のいるようなクラスにいる、スズキ君という存在。。なんとマイノリティなジャイアンなんだ……とちょっと悲しくなります。チェスやるクラスに、人の物におしっこかける奴がいるんですよ。
あと、お姉さんの声を最初に聴いた時に「お姉さんなのにやけにおばさん声だな……」と思ったんですが、逆に萌えorセクシーすぎる声でなくてこの作品は良かったと思いました。やはり『おっぱい』を強調する割に性的でないのは、この声が大きな原因なのだとも思えます。エンドロールで蒼井優さんだと判明し、気づかなかったので驚きましたが。
またお父さん役はチョイ役なのでまあいいですが、「下手くそすぎ……糸井重里枠かよ。」と出てくる度に現実に戻され、テンションがただ下がりでした。こちらもエンドロールで西島秀俊さんだと知り驚きました。プロかよ!
短く感想をまとめると、
「とっても面白いしクオリティも高く、爽やかで好みだが、ラストがちょっと弱かったので惜しい…」という感じです。