「SF? 冒険もの? 成長もの? 全部です」ペンギン・ハイウェイ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
SF? 冒険もの? 成長もの? 全部です
自分は「評価が高い」「森見登美彦原作」という前情報のみを仕入れて見に行きました。
そのおかげか、原作も読んでいませんし展開が予想できず最初から最後までワクワクさせてくれました。
この映画のいいところは、ジャンルとして的を絞らせていないことでしょう。
子供向けの冒険譚であり、SFものであり、また主人公の成長を描いた物語でもあります。
人によって「良いな」「おもしろいな」と感じるポイントが違い、また様々なジャンルを”上手く”混ぜることでお祭り感覚で楽しめます。
一歩間違えば何を言いたいのかしたいのかわからない作品になりえましたが、この映画はよくバランスをとっていたと思います。
登場人物も不要だと思われるキャラがおらず、みなそれぞれが役割を担っていてイライラしませんでした。
個人的にお父さんが一番ツボでしたが、まぁこんな素晴らしいお父さん現実にはなかなかいないですね(笑)
あと個人的にこの作品は様々なポストジブリたちより、最もジブリに近い作品だなと感じました。
それは子供はもちろん大人も、純粋に楽しめ、考えさせられる作品だからです。
細田監督も新海監督も米林監督も、みな良い作品を出していますが、監督のメッセージや個性が出すぎていて子供には理解しにくかったり、逆に子供向けすぎる作品が多かったような気がします。(あくまで個人的感想です)
しかしこの作品は子供視点では映像が多彩で冒険心がくすぐられ、大人視点としてもストーリーの作り込みに感心させられます。
主人公が子供でありながら、子供らしからぬ知性、品格を有していたことも大人が見て楽しめる要因になったと思います。
これが年齢通りの性格だとちょっと……となった可能性があります。
もちろん、突っ込みどころがあるのも理解できます。
SFものとしてはその原理にほぼ触れないまま、「不思議なものは不思議なもので良いんだよ!」と言わんばかりに投げっぱなしジャーマンです。
大抵のSFものはとんでも理論であっても一応の答えは出すものですが、この作品においてはほぼ主人公の推測の域を出ません。
でも自分はそれでいいと思います。
この作品におけるSF要素とは映画を彩る装飾に過ぎないからです。
メインではありません。
いろいろ無駄に書きましたが、この作品はすごく楽しめました。
方向性は違いますが、個人的にはこの世界の片隅に並みにお気に入りです。
BD出たら買います!