「こんな映画だとはつゆほども思わなかった、意外と深くて刺さる掘り出し物の一本」ブリグズビー・ベア ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな映画だとはつゆほども思わなかった、意外と深くて刺さる掘り出し物の一本
実に奇妙な一作だ。可愛らしいクマさんをめぐる冒険活劇かと思いきや、冒頭からすでにコメディともシリアスともつかぬ線上を綱渡りするかのような、なんとも言えない妙味が炸裂。序盤は『トゥルーマン・ショー』などでおなじみの「メタ・フィクション」というテーマを濃密に描き込み、中盤からは『桐島、部活やめるってよ』のような「自分の手で映画を撮ろう!」的な高揚感あふれるダイナミズムを発動させる。かくも一粒で二度おいしいではないが、一本の中にいくつもの趣向やテーマ、メッセージ性が内包され互いに影響を及ぼし合うのを堪能することができる。
作り手によると「『自分にとっての全て』と思い込んでいたものが突如終焉を迎えた時、人は一体どうするのか?」に焦点をあてた作品でもあるとのこと。人間の生活、人生、暮らしのみならず、宗教、国家、文化に置き換えたとしても多元的で複層的な解釈ができる、極めて現代的な作品と言えそうだ。
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