洗骨のレビュー・感想・評価
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家族とは…死とは…
照屋監督と奥田瑛二さん安藤桃子さんのトーク付き上映にて鑑賞。
一世を風靡したお笑い芸人ゴリさんが監督しただけのことはあり、笑いの間合いは流石だった。
有名な芸人さんが物語のキーマンになっていて、完全に出オチになっていた。演技はお世辞にも上手いとは言えないが、家族関係がここまで拗れていたら、こういう空気が読めないマイペースな人が必要なのかもしれないと思った。
ただ、義理の兄ら親族の多くが、彼に対して常に命令口調なのが気になって仕方なかった。
役者さんの演技が良かっただけに、山場では演者の表情や佇まいを見せてほしかった。特に、監督ご自身はあえて声しか出さないと決めていた奥田瑛二さんの熱演は、鑑賞する側にすればそのシーン目当てで映画館へ足を運んでいるのだから、外さないようにしてほしかった。
洗骨という風習については、この映画を観て初めて知ることが出来た。四年後にまた悲しみを味わうのに、何故この風習が今も残っているのか不思議に思うと同時に、家族の絆は死んで尚、心の中に存在し深まるのだと感じた。
何らかのイニシエーション(通過儀礼)?!
一般化はできないが、日本人の多くは、葬儀の後は「法要」という形で、亡くなった人に別れを告げていく。
それに対して、「洗骨」という風習に驚きを感じた。4年後の洗骨という儀式の意味までは深く理解することはできなかった。その風習が形成されてきた土地柄、経緯にも、大いに関連することなのだろう。
お笑い要素、いるかな?
「洗骨」を見てしまいました。
奥田英二は骨のある役者ですね、存在感が半端ない。
ストーリー等、映画のルックスはとても素晴らしいと思う。
照屋監督も、デビュー作としては十分。
ただかなり大きな問題をこの映画は抱えている。
それは、話と笑いのギャップが大きすぎて、笑えない・雰囲気台無しという状況になってしまっている点です。
真面目な話の中に笑いを混ぜ込むことは全然ありだと思うけど。出てきたときが頂点といういわゆる"出オチ"は映画ではやってはいけない。なぜなら、それ以降笑えないから。
お話の部分が80点だとしたら、Q太郎を筆頭とする笑いの部分は-70点ほどだと僕は思った。
洗骨みた
短編は観てない。子供を産む瞬間なんて誰もが泣くズルい。そして文化庁推薦って…
いまも風葬がある事を知らなかった。そしてそのあとに骨を洗う。それだけで劇的だ。骨を洗う姿は泣いた。私は母親を16の時亡くしたけれど同じ事を出来ただろうか。勿論父親は6歳で病死した。ろくでもない父親が今の私と被った。現実にろくでもない私母親と生きる子供ら。子供と観たかったな。
出産シーンは現実味帯びてて
馬鹿に出来ない作品だ。少しズルいと思う所はあるとしても。
ちょこちょこ気分を害してしまいました…
テーマはとても素晴らしいと思うのですが、
ちょこちょこデリカシーが足らないというか、
気分を害する事が多く、、、低評価すみません。
例えば笑いについて言うと、「芸」として人前でやるような笑いのやり取りは、日常の会話に持ち込むには強すぎて、前後の機微が台無しになる、感情の流れが破綻するのです。
ツッコミは舞台の上でバシッと決まればドッと笑いが起きますが、日常の人間関係の中でバシッと言うと、相手の心を傷つけても平気な人間のように映ります。
それを、役のキャラクター関係なく誰にでもやらせているもんだから、それまでの心の通い合いのリアリティが吹き飛んでしまい、度々フィクションを見ている現実に引き戻されます(叔母さんは唯一それをやっても不自然でないキャラクターだったと思います)
目先の小さい笑いのために、人の感情の根っこの部分を描くことを捨てているように感じました。
店長の人物像やふたりの関係性も、その場その場で面白いだろうやり取りを優先しているために、一貫性がなくなっていて、わざわざ嘘をついて妊娠までしたことの説得力がなくなっています。
出オチの一瞬には最適なキャスティングだったと思いますが、その後、人間ドラマになっていく事が出来なかった。
これも小さい笑いを優先して、人の心の機微をスルーすることの積み重ねが原因と思います。
ただそれはこの監督の経歴だから生まれる持ち味でもあると思うので(北野映画にも、笑いに関する感覚は独特のものがありますよね)、欠点ではなく、そういう作家性だと捉えることもできると思います。私は好みではありませんが、気にならない人もいると思うので。
また、新旧の生命の交代を象徴的に描きたかった意図はわかるのですが、風化したご遺体に触れた手を消毒もせず新生児を取り上げるのは流石に衛生的なことが気になりすぎて、感動という気分ではありませんでした。
そして、父親に切らせる必要がありますかね?不快でした。
父親が自信を取り戻す方法なら他にいくらでもあると思うのですが…
〈良かったところ〉
洗骨という儀式はとても貴重で意義深い伝統だと感じましたし、これからも残っていって欲しいと思います。
この映画は、その点に貢献できるのではないかと思うので、星はその評価と、素晴らしい名優さんたちの評価です。
噂好きの島民2人が協力する場面を作ったことにgood job!出来すぎてるとは思うけど、後味が良かったです。
無事に産まれて、赤ちゃんの泣き声が聞こえた直後の、安堵と嬉し泣きの声や表情はとても良かったです。
家に帰って翌日も、エンドロールで流れていた地元の歌が耳に残って離れなかった。
笑って泣いて
洗骨や出産など衝撃的なラストがありますが、島の風土のせいかノンビリとした感じ、嫌な感じは少しもありませんでした。洗骨も聞いてる時は えっ?という感じでしたが、何だか素敵な風習でした。
死生観と絆を描いた、素晴らしい作品。
以前から気になった作品で公開前から興味があり、鑑賞しました。
で、感想はと言うと、観て良かった。
どの言葉が適切かどうかは分かりませんが、とても良い作品で、観ているうちに“これは凄い作品なのでは”と“これは観るべき作品なのでは”と思いました。
一言で言うと、この様な作品に出会えた事に感謝です。
洗骨と言う沖縄の一部の地方に残っている風習は知ってはいましたが、軽々しく表に出る物でもなく、また軽々しく興味本意で覗いてもいけない。だからこそ、文章などでは伝えた物があっても、映像では殆ど残っていないのは、家族以外には見せてはいけない、覗いてはいけない神聖な物だからだと思います。
衛生上と言った建前の理論を盾にいろんな意見が出るだろう中で、それでも未だに残る風習の習慣には興味が湧きつつも、家族の骨を洗うと言うショッキングな出来事にはいろいろと考えました。
自分だったら、正直嫌だろうなぁと思います。
洗骨の儀式が近づくにつれ、憂鬱になるだろうと思います。
でも、人の生と死を考える事が少ない昨今、改めて大事な大事な事を思い出させてくれた感じです。
また、家族との絆が都会では希薄に感じるのに遠い沖縄の地方では自然の風景と同じように添い遂げる家族との絆が優しく包み込んでいて、だからこそ、鑑賞する意義もあったと思います。
家族を繋ぐ母親が亡くなった事でバラバラになった家族が洗骨の儀式を通じて、再び家族との絆を取り戻す。
母親と改めてお別れをする事と新しい命の誕生を描いています。
文字で書くと簡単ですが、盛り込みのバランスがとても難しくて、チープになる事も多いのに、この作品は絶妙なバランスです。
また、随所に笑いの場面もあって、楽しく鑑賞出来ました。
特に娘の優子が妊娠して、帰ってきた時に“セックス”と言う単語の説明を甥っ子の元太にする時に「馬鹿野郎と同じ様な使ってはいけない言葉」と説明しましたが、優子の事を陰口を叩く近所のおばちゃんに対して“セックスー!”と馬鹿野郎と同じ意味合いで使ったのには爆笑。
直ぐに信子バアちゃんのツッコミが入りましたが、子供の“なんで?”のテンポも絶妙で、再度爆笑しました。
重いテーマなのに、随所に笑いが散りばめられていて、肩の力を抜いて観られる所にも、単純に芸人のゴリさんが監督したと言うだけでなく、映画監督の照屋年之としての意気込みがこの作品の奥深さとエンターテイメントとして作品の意識が垣間見えます。
鈴木Q太郎さんの空気の読まなさは過度な笑いに走っている感が否めないですが、あれぐらいの方がエンタメとしては成立していて、寡黙な父親や重い空気になりがちな現実との対比になるかなと個人的には思います。
キャストは何方も素晴らしいですが、特に信子バアちゃん役の大島蓉子さんが素晴らしい。
どっしりと構えていて、どっしりと真ん中で支えてくれていて、大黒柱の母としての存在感が半端ないです。
地方に行くといろんな風習や習慣に驚く事もありますが、島の東側は生ける人の住む場所、島の西側は死する人の場所(あの世)と言うのにもオカルトチックで少し怖い感じがしながらも普通に溶け込んでるのにもちょっと驚きました。
母親の遺体との対面はかなりショッキングでそれを素手で洗うと言うのもショッキング。
髪の毛がまだ残っていて、それを洗うと言うのは、生前の母親の姿と重ね合わせたら、かなり動揺します。
子供なら泣き叫んで、普通の大人でも酒を飲まないとやれないと言うのも納得出来ます。
でも、大切な事なんですよね。
ラストで優子の子供が産まれた時の母親の骨との対面もショッキングで異様に映る様にも見えますが、全体をきちんと通して観れば、この作品の伝えたい事が理解出来ます。
また、エンディングも良かったなぁ。古謝美佐子さんの「童神」がしんみりと心に染み入ります。
物が沢山溢れている都会が雑多で薄い物にも感じますが、決してそういう訳ではなく、自然に溢れた田舎が単純に素晴らしいだけでもない。
どちらも生きていくのに、とても大変な事が多い。
でも、生きる事と大事な人と別れる事。そして人としての家族との関わりと言う大事な事を改めて気付かせてくれた、素晴らしい作品です。
改めて自分の親不孝に心痛ですがw。
去年鑑賞した「鈴木家の嘘」と同じぐらいに良い映画に出会えた事が嬉しいです。
こういう作品にたまに出会えるからこそ、興味があれば、観に行くフットワークは大事です♪
重い所も多々ありますが、笑えて考えさせられる作品なので是非まだの方には観て頂きたい作品です。お薦めです!
死者を弔うということ~愛しき家族の珠玉の物語
一人の女性が亡くなり、夫、長男家族、長女、親戚が集う。そして4年後、再び集った家族は、それぞれに4年間の事情を抱えていた。長男は一人で、夫は未だ二人で、そして長女は三人で。笑いと涙を絶妙にブレンドし、訳あり家族が描かれていく。やがて、その訳あり家族が愛しく思えてくる。
生と死を真っ向から描き、しかも希望を感じさせられる作品。優しさゆえの男の間抜けさ、命をつなぐ女の偉大さと強さ、それらを包み込む島の息吹き。
妻の亡骸を綺麗にしていくうちに、それまで苦痛に満ちていた夫の表情が和らいでいく。死者を弔うということは、生きる苦しみを少しだけ減らし、生きる喜びを思い出させてくれることかもしれない。
「なぜ、死者の骨を洗うのか。それは自分を洗うことなのだ。先祖は自分自身なのだ」という長男の最後のナレーションに考えさせられる。
照屋監督の哲学が、登場人物の台詞に散りばめられ、泣き笑いの中で、自分の大切な人を思い出し感謝したくなる、愛しき家族の珠玉の物語を、世界中の人に観てほしい。
ウチナーンチュでも知らない沖縄
ガレッジセールのゴリさん(照屋年之監督)が手がけた作品ということで、正直、あまり期待はしておりませんでした。(照屋監督、スタッフさん、キャストさんすみません…。)
物語の始まりから笑いの渦に包まれます。
笑いを誘うのが、島の人演じるゆうりきや〜の城間祐司さんで、沖縄の大御所お笑い芸人さんです。
母(妻)の死から4年後、洗骨の儀式のため、家族が集まります。
信綱(奥田瑛二さん)は妻の死を受け入れられず酒浸りの日々を過ごし、息子剛(筒井道隆さん)との親子関係は最悪。
名古屋で美容師をしている娘優子(水崎綾女さん)はシングルマザーとして生きる道を選び、家族の理解を得ようとするのですが…。
一見暗そうな内容ですが、絶えずに笑いがあります。
笑った後には涙涙で、また笑い、感情が大忙しです(笑)
観客を飽きさせない手法は、お笑い芸人でもある照屋監督だから作れた映画だと思います。
脱線しますが、タモリさんの言葉で、涙の意味は、
〝子供は自分のために大人は他人のために流す、感情のリセットボタン〟
と発した素敵な言葉があります。
優子が島の女性に悪いように言われるシーンがあるのですが、信綱の姉演じる伯母の大島蓉子さんが最高に格好いい。
『適当に傷ついておきなさい』
という言葉は、優子だけでなく、普段からいろんなことで傷つきやすい私にも胸に響き心癒されました。
あんな伯母が居て欲しかったなぁ…。
女性なら、こんな強い女性になりたいと憧れるのではないでしょうか。
女優大島蓉子さんをもっと知りたいと思いました。
妻恵美子が信綱の前に一瞬だけ現れるのですが、信綱が愛した女性がどんな人だったのか、たったワンシーンですが想像ができます。
信綱が何故4年も立ち止まったままなのか。
男女が恋に落ち、夫婦になり、親になり家庭を築き、家族の原点は人が人を深く愛した時に訪れるものだということを、信綱の弱さから、改めて気づかせてくれます。
子供たちにはわかることのできない、夫としての思い。
子供たちも家庭を持ち、離別があり、親の有難さに気づく。
離れても、いつかまた、家族が一つになる日がやってくる。
見事なキャスティングで、素敵な映画でした。
照屋監督の舞台挨拶付き上映ということで、上映後に観客とのトークディスカッションもあったのですが、観客には洗骨を経験された方や粟国島の方や粟国島と関わりのある方もおり、経験者の方は昔洗骨を経験し怖かったという思いが映画を観て変わった、とおっしゃっていました。
照屋監督は、洗骨を経験された方からこれは洗骨ではないと言われるのではなく、そのように言ってもらい良かったとおっしゃっていました。
本島に住んでおり40年近く全く聞いたことも知ることもない洗骨でしたが、洗骨という風習に、怖さよりも神秘的だという思いが先にきて学べたことは大変良かったです。
家族と、恋人と、友人と、一人で、どなたにでもおすすめできる映画です。
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