「声よりアイデア出せよ!」雪の華 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
声よりアイデア出せよ!
余命1年を宣告された若い女性。
出会った青年との、人生最後の、一生分の恋…。
久々とも言えるド直球の超ベタベタベタ難病悲恋ストーリー。
それにしても、
聞きしに勝るトンデモありえねー設定・展開。
美しい話だろ~? ロマンチックだろ~? 泣けるだろ~?…の強要。
こういう若者向け恋愛モノは、女優目当てで一時よく見ていたが、金と時間を費やす事ナシ!…と暫く敬遠していたのだが、
何故か本作、公開前、我が地元の映画館で何を観に行ってもやたらと予告編が掛かり、それはもううんざりするほど。酷い時は、劇場予告編とレンタルの新作情報と製作提供のWOWOWの番宣で一日の内に3回も見て、いい加減げんなり…。
しかしそれがかえって、ならばどんな物か見てやろうじゃねえか!…と挑戦状のように感じ、見てみた。
…と、まあ、どーでもいい前置きが長くなってしまったが、突っ込まずにはいられない感想を。
余命宣告をされ、絶望していた美雪は追い討ちを掛けるかのようにひったくりに遭うが、悠輔に助けられ、フォーリン・ラブ。半年後、偶然彼を見掛けるのだが、この時、わざわざインテリアショップに入る必要あったのかね…?
まるでストーカーのように後を追い、彼が働くカフェへ。ちなみに悠輔は美雪の事を覚えていない。助けられた方は覚えていても助けた方は忘れてるって事はあるかもしれないが、これって余命僅かの女性と記憶障害の青年の恋物語なの…?
このカフェが気に入った美雪だが、経営難である事を知る。100万円無いと店が潰れてしまう…。
貯金で100万円持っている美雪。勇気を声に出して、気が触れた言動を。
100万円、使って下さい! 1ヶ月でいいので、私の恋人になって下さい!
ドン引きの悠輔。渋々金を受け取るが、渡された先輩も困り果て…。一応、両者の反応は正しい。
悠輔にはさらに美雪と“恋人”として付き合う事になるが…、美雪がいちいち面倒臭い。
あれやこれやと理想のシチュエーションを要求したり、デートが終わったら私の姿が見えなくなるまで笑顔で手を振っていて…などなどなど。
何だか、悠輔に同情。
にしても、美雪のキャラに全く感情移入出来ず。
幾ら以前助けられた事があるとは言え、100万使って欲しいなら悠輔の先輩に直接言って渡せばいいのに…。そうしなかったのは、恋のお相手が三代目なんちゃらのイケメンだからである。
百歩譲って、美雪が身寄りの無い孤独な女性だったら分からんでもないが、母親が居る。
家族よりイケメンとの恋を選んだのは、恋のお相手が三代目なんちゃらのイケメンだからである。
いつしかお互い、本当に惹かれ合っていく映画的恋路。
“一身上の都合”により契約の恋を一方的に終わりにする。
以前助けられた事、余命僅かである事を隠している美雪。
それも分からんではないが…、色々と自己チューワガママ。
美雪を忘れられない悠輔。ある時遂に、以前出会って助けた女性である事、余命僅かである事を知る。
美雪はそんな身体で夢の一つである赤いオーロラを見る為、単身フィンランドへ。本当に余命僅かなの…? 一人で海外行けるほどピンピンしてるやん!
悠輔も美雪を追ってフィンランドへ。見ず知らずの海外の地で、運良く首尾良く美雪の元に辿り着く。
二人は再会。そんな二人を祝うかのように、赤いオーロラが…!
少女漫画のような恋に恋する女の子の為のTHEファンタジー!
って言うか、悠輔がガラス工芸家を目指している設定もあんまり意味無いし、最後は涙涙の死別で終わるのかと思いきや、死ぬシーンはナシのラブラブで終わり、アレ、余命僅かの設定の必要性は…?
ご存知の通り本作のモチーフは、中島美嘉の同名曲。エンディングも飾り、お世辞抜きにいい曲。
…でも、この曲を聞いて、どうしてこんなままごとな恋愛ストーリーが浮かぶのだろう? 一体何処に、期間限定の恋や難病&悲恋を読み取ったのだろう?
監督は元より、脚本家の履歴を調べたら、やっぱり以前も手掛けてた、難病&悲恋を食い物にして観客の涙を搾り取った作品が。
声に出せよ!…なんて劇中で言ってるが、それよりもまず、
もっとアイデア出せよ、アイデア!
こんなんでいいの?
自己チューワガママ、私って薄幸のヒロイン!?…であっても、中条あやみは可愛い。ただそれだけ。
メガネ姿、恋にはしゃぐキュートな姿、フィンランドに行く際の「レッツゴー!」に萌えてもうた。