未来を乗り換えた男のレビュー・感想・評価
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なかなか難しい話
第二次大戦時のナチスによるフランス占領の舞台を、現代に置き換えて描いた作品。
RAIDとか、現代フランスの警察特殊部隊が、“難民”狩りを行う描写は衝撃的。って言うか、実際に今での起きている事なのかな?ヨーロッパは、中東やアフリカからの難民が押し寄せる問題が起きていたので、有り得ることかもしれませんね。
ゲオルグや、その他の多くの人が逃げなければならない背景は、全く明らかにされません。でも、ナチスによる占領が進んでいるという事で、ユダヤ人迫害の為に逃げなければならないと言うのは明確なんですかね?
それと、時代を現代にした事により、中東やアフリカからの難民も存在し、問題をより一層複雑にしています。だれもかれも、逃げようとしますからね。
“フランス”“ナチス”と言う二つの言葉から連想されるには『レジスタンス』ですが、この作品では出てきません。いや、“反体制派”とか言う言葉で、ちょっとは触れているのかもしれませんが、明示的には出てきません。むしろ、パリからマルセイユにたどり着き、そこからメキシコまで逃げ延びようとするまでの日々を、おびえながら、悩みながら、待っているという日々が描かれています。でも、意外に、それでも物語になるんですね。
結末が、まさに戦争に悲劇ですね。実際にあり得るような事。それがまたリアルにも感じます。
☆☆☆★ エンディングで、大好きなトーキングヘッズの♫Roab t...
☆☆☆★
エンディングで、大好きなトーキングヘッズの♫Roab to Nowhere♫が鳴り響いたので採点爆上げ^_^
いや〜手強い!難しいわ〜これ!
何となく、過去に起こったナチズムが台頭した時代の話を。現代フランスを舞台に、移民廃絶の現状を背景に…ってのは、そこはかとなく漂っては来る。
そして、取り敢えずは。死んだ男の書いた小説の通りにストーリーは進んで行く…って事で良いんでしょうかね〜?
「そうです!」…って事にしておいて下さい旦那Σ(-᷅_-᷄๑)
だってわかりずらいんですもの。
ただ、ファムファタールにあたるパウラ・ベーラの振り向き顔が。とても魅力的だったので、嫌いじゃあ無いんですよね。
主演のフランツ・ロゴフスキの何処となく、踏み潰されたカエルみたいな顔つきも悪く無いんですわ(^^)
そう、この作品って!戦時下の話の様でいて、実はフィルムノワールの雰囲気を狙っているかの様な作品に見えました。
でもフィルムノワールならば、光と影による印影な映像が映えるのに。この作品の場合は、陽光が降り注ぐ港町なので、ちょっと間抜けに見えちゃうのが残念ですね〜(-.-;)
2019年1月16日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1
空回り
ファシズムバリバリのドイツ軍が侵攻するフランスで、移民の摘発が厳しくなる中ドイツから亡命してきた主人公が、偶然絡んで手にした他人の身分でビザをとり出国しようとする話。
PC、携帯、旅客機等、便利なツールは出てこないけれど現代の設定の様で、根本となる情勢が非常に判り難い。
アナログじゃなきゃ成り立たないなら昔の設定にすれば良いのに…。
そんな中いとも簡単に出国準備が進んじゃうし、死んだ作家の名を語ったら嫁に出会ってしまうとか領事館を挟んでの旦那が来たとかどうとかのやり取りなんかコメディじゃあるましい。
シリアスにみるにはチャラいし安いし重さがたりず、かといってコミカルなつくりにはなっておらず。どうみるのが正しいのか判らないシュールな感じ。
世界のことを何も知らない(日本のことだって何も知らないのですが)
原作もその背景も知らずに、サスペンスフルな映画、という謳い文句に捉われて観てしまった自分がいけないのですが、少々退屈でした。
自分が何も知らないことを改めて実感したのが、下記二点。
❶第2次世界大戦の戦勝国のはずのフランスが、パリも含めてナチスドイツの占領下にあり、レジスタンスの掃討という名目で、フランス人自身、或いはフランス警察がナチスに加担したという屈辱的な歴史を持つこと
❷当時のメキシコが実態はともかく、ヨーロッパの人からは夢見ることができる国だったということ。『ボーダーライン』やその他麻薬犯罪の映画のイメージが勝り、どうしても逃亡先の選択としての想像が追いつかない。
この映画とは関係ないがメキシコの麻薬カルテルはいつどうしてできていくのか、についても何も知らないことに気付かされた。
日本人には理解し難い向かないね
『東ベルリンから来た女』などのクリスティアン・ペッツォルト監督作品なので大変に楽しみにしていたんだけど・・・・
まずは、何の説明もなく始まったので、本作品「何時の時代の話?」第二次世界大戦の話にしては、建物が現代ぽいし、しかし、現代かと思うと、携帯電話などは出てこない・・・・
どうも、原題である「トランジット」と言う小説が、1940年代(第二次世界大戦)のユダヤ人迫害と現代の難民問題などを現在に舞台を変えてその人間模様や恋愛を描いた作品・・・・
しかし、日本人には、ユダヤ人迫害や難民問題もあまり身近ではないので、ピンとこないかな・・・・
もう少しスリリングに描いてくれるのなら、侵攻してくる軍隊の恐怖や亡命の難しさだけでも伝わるけど、結構お話が淡々として、作りも淡々としているので、「う~ん」、日本人にはなかなか理解しにくいかな・・・・
もう少しスリリングに出来ていればね・・・・
昔も今も、人が人を排斥する現実
今、ヨーロッパで起きている難民排斥問題について、いろいろと考えさせられた作品だった
1942年の第二次世界大戦下のドイツで、迫害に遭った小説家アンナ・セーガースが亡命先のマルセイユで執筆した小説「トランジット」を、現代を舞台に置き換えて映画化した作品
その「トランジット」が書かれた1942年当時、迫害と言えば、ナチスドイツがユダヤ人を迫害していたことを思い浮かべる
そして、誰もが、ユダヤ人迫害なんて、二度としてはいけないことだと思うし、ナチスドイツは悪だと思うはずだ
しかし、その話を現代に置き換え、迫害されているのは誰かと考えると、それはヨーロッパに入ってくる難民であり、移民なのである
しかし、そのことに対して、誰もファシストだとは言わないし
(言っている人がいても、大きな声にはならない)
難民や移民が連行されても、当然だと思っている人もいる
この映画は、時代設定や、迫害されている対象を曖昧にし、
さらに、主人公を国を追われてフランスに逃げ込んだドイツ人にしている
そうすることで
現在のヨーロッパでは、いつ、どこで、誰が迫害され、住む場所を追われるかわからない状況にあることを表している
そして、その言葉通り、主人公ゲオルグが出会った人にたちは、次々と姿を消していくのだ
そこで思う
国家や、国境というのは何のためにあるのか
もしも、ドイツ人が、フランス人のIDを盗んでフランス人になりすますことができるなら、そもそも、そんなIDなんて必要ないのではないか
フランス人になりたい人がいて、密入国をした上で、自分と近い年頃のフランス人を殺して、その人なりすますことも可能ではないのか
それよりも、その国で暮らしている人たちが、そこで生活をしていられるのであれば、排斥する必要はないのではないか
生まれた国を追われたり、生活していくことが大変になってしまった人が
他の国で暮らすことに居心地の良さを感じているなら、そこで暮らせるのが一番良い
しかし、今のヨーロッパでは、それが許されず
何も罪を犯していないのに、連行され、中には命を落とす人もいるのだ
そんなヨーロッパの現実をヒシヒシと感じた作品だった
そして、これまで「どんな人も受け入れる」と言っていたアメリカまで、その門を閉じることになれば、移民や難民は、行くあてを失ってしまう…
とても抽象的な作品で、観る人によって受け取り方が変わる作品だと思うけど
「人が人を排斥する現実」について、考えずにはいられない作品だった
決して、他人ごとでなく「それが自分の身に起きたら…」という目線で観たい作品だった
今だからこそ
今だからこそ観る映画だ。
時代もバックボーンも意識的にぼかしている。
もちろん、ナチスを意識しているが、移民大国のドイツやフランスの憂鬱さも感じる。
日本も他人事ではない。
今後、さらに大量の外国人が流入してくるのは
確実だ。
文化、言語、習慣、色々違いはあるが寛容と慈悲の精神が大事だと痛感した。
あとマルセイユの風景は美しい
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