希望の灯りのレビュー・感想・評価
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スーパーマーケットというかりそめのユートピア
スーパーマーケットという閉ざされた空間をひとつの小宇宙に見立てるというアイデアは決して物珍しいものではないが、ルーティーンの繰り返しのような職場が、主人公に取っては自分を閉じ込めるのではなく、社会というものに繋がるための扉として機能していることに新鮮さを感じた。
一方で主人公に限らず、本作に登場する個人の「家」は一種の牢獄のように描かれている。「家」は孤独を色濃く感じる場所であり、彼らにとってスーパーマーケットは人と触れ合い、仲間意識を共有することができる場なのだ。
しかしやがてそのスーパーも、世の中の大きな流れの中にポツンと浮かんだ避難所のようなものであることが示唆されるのだが、だだっ広いところにポツンとある無機質なスーパーマーケットから豊かな人間ドラマを生み出し、オアシスのような温かみを感じさせてくれた監督の視点に、大きな魅力と希望を感じています。
なんとも難解。 ムードはよく伝わったけど、内容は脈絡もなく意味不明...
なんとも難解。
ムードはよく伝わったけど、内容は脈絡もなく意味不明。
つじつまの合わないことばかりで、静かなのにかき回される。
これが旧東ドイツの平和なのか?
これが希望なのか?
ささやかと言えばささやかすぎな。
そういう世界感がすんなりと通るんだな、旧東ドイツって。
少しの光
巨大スーパーでの品出しやフォークリフト作業、そこで交わされる従業員たちの会話や交流。きっとこの外や家庭よりもここは仲間と社会とつながる場になっているんだろうなと思った。主人公がバス運転手に「良い1日だった」と答えるシーンはとてもいいですね。彼にとってはこの日常がそう思える日々なんだなと。
ベルリンの壁崩壊から30年近く経っても、西側と東側ではインフラや賃金にも結構格差があるみたいですね。それは人の心にも禍根を残していると。
あと、ブルーノはマリオンの夫だったんではないかと思っている。やけにマリオンの旦那のこと詳しいし(暴力的だとか実は自分のことずっと話してたんでは)最後は主人公に託そうとしてたし。まぁ真相は分かりませんが。
オフ・ビート
ジム・ジャームッシュの様な映画だと思った。オフ・ビートってやつ。しかし、フランス映画の様に理屈をこねない。
物語の流れの後ろにあるもう一つの流れを想像させてくれると思った。そう言ったアイテムが映像の中に散りばめられている。
それでいて、立派なコメディ。
ネタバレさせたくないが、テーマが分かりさえすれば、凄く面白い。3つのオムニバスとして、フランス人なら作るだろうな。
無口な映像から受ける感情。
旧東ドイツの空気感は知らないが、
ちょっと暗くて寒くて堅い感じ。
そして無口なイメージ。
主人公は脛に傷を持つ青年クリスチャン。
表情は柔らかいが社交性があるわけではない。
スーパーマーケットの同僚たちは、
そんなクリスチャンを好青年として感じている。
国柄なのか土地柄なのかは知らないが、
あまり身の回りの深い所を話してこないし
詮索したりもしない。そういう人たち。
それが居心地の良さにもつながってくる。
無口な人ってのは、よく観察する。
それゆえ、表面的な会話よりずっと
その人の内面をよく知られる。感じられる。
しかも古参の従業員たちはみな
旧東ドイツ時代からの同僚で気心を知っている。
だからこそ、ブルーノが抱えていた闇を感じられなくて
深い悲しみに包まれてしまう。
映像表現からも、その人種性のようなものは
強く感じられる。
ドリーやパンは多用されず、
基本的にフィックスカット。(カメラは固定)
アングルは平面的で奥行きは出さない。
人物のカットは真正面から真後ろへの直線的な切り返し。
セリフ前後の間は、一般的な映画よりも長め。
この「間」が実に内容に合っている。
北野映画を思い起こさせる映像表現に近い。
だからこそ、観客は余計な映像情報を入れずに
登場人物の内面を読み解けられる。
無骨だが実に感情豊かな、
スーパーマーケット=家族のような温かい場所。
じんわり胸に染みわたる、とても柔らかい、いい映画でした。
これが日本のスーパーマーケット映画だったらどうだろう。
パートのおばちゃんの井戸端会議から始まる根も葉もない噂話。
表面的な仲の良さを装って、同僚を陥れる人間模様。
異性にほんの少し好意を持っただけで不倫話にまで膨らませる想像力。
そんな映画は見たくないなぁ。
なんとも評価のしづらい
仕事場を延々と舞台にしてるのがちょっといい。そして、薄暗いけどあの倉庫みたいな店内が美しくみえる。なんか倉庫でバイトした記憶が蘇って親近感もおぼえた。人間関係や雰囲気も悪くない。
ただ、個人的にどうしてもダメだったのが主人公のキャラ。家勝手に入ってウロウロするシーンはほんとどん引き。。完全なる変質者。職場恋愛で悩みすぎるのもキモいしどういう男だよ、と笑 そういう設定なんで仕方ないが、そこでちょっと気持ちがはなれた。
良い点もありながら、個人的に合わない部分もあった、なんとも評価のしづらいということで平均かな。。
日常の中の小さな喜び
事件らしい事件も起こらない淡々とした物語。たまにはこんな映画も良いものだと思う。まるで実人生を映したかのようで、もしかしたら私も、今こんな生活をしているのかもしれないと、そんな気持ちにさせられる。
特に夜の映像が美しい。主人公の青年が家路に急ぐ横を、何台ものトラックが連なって走るシーンとかとても幻想的。無機質な環境の中に、必死に生きる人間達がいる。特に中年以降の人達には、ずしんとくるものがあるのではないだろうか。
淡々と
ちょっとキムラ緑子みたいなマリオンに惹かれるクリスティアン。
惹かれ方も近づき方も唐突だが、ま、いいでしょう(笑)
フォークリフト、操縦できたらカッコイイだろうなぁ。
淡々と進む映画。静かに鑑賞したい方へ。
理想の職場
刺青を微妙に隠して大型スーパーで働ける寛容さが羨ましい限り、初心者でフォークリフトを運転する不安定さは経験があればハラハラ、ドキドキしてしまう場面でもあり、深夜帯だからこそ?の周りの緩さが和める優しさを感じてしまう。
フォークリフトの練習場面で"Son Lux"の「Easy」が流れるが「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」の主題曲でもあり、映画のジャンルが違うだけで曲の雰囲気も変わってしまう不思議な感覚。
無口な主人公に訳ありな過去がありそうなのは上半身の刺青や昔の友人で何となく匂わせ、マリオンやブルーノに関しては描かない難しい事情が?
クリスティアンの存在感がギリギリに危うさを誤魔化しているような、挙動不審に思える表情を含めた不安定さ。
日常
ドイツのとあるスーパーマーケットで新規に働くことになった青年を中心とした日常が描かれています。
イベント的なものがないため、淡々とした印象が残ります。
そのため、尺が少し長いと感じました。
わたしにはタイトルにあるような希望は、感じ取れなかったのですが他の方はどうなんでしょうか?
なんでもないようなことの良さ
冒頭の音楽は2001年宇宙の旅を想起させた。
さしずめ、あのコストコみたいなスーパーは太陽系宇宙、漂うフォークリフトはディスカバリー号か?
次いでに言えば、ブルーノはHAL9000、マリオンはモノリスになるのか?
余談はさておき
ストーリーは侘しい、それなりに過去のある独身男の日常を切り取った内容になっているのだが、その中にこめられた淡々とした流れがリアルに感じて安心感を与える。
いわゆる独身男あるあるもので、自分にとっても、昔自分が感じた一部分のようで、だよねぇと唸ってしまう。
物質的な西側社会ではない、精神的な東側社会の日常の質素な良さが滲んでくる作品。鑑賞後にじわじわ着ます、この作品は。
タイトルなし
旧東ドイツ生まれの作家
クレメンス・マイヤーの短編小説
「通路にて」の映画化
.
ライプツィヒ近郊の大型スーパーを舞台に
社会の片隅で助け合う人々の様子を描く
.
其々苦悩を持つが
皆素朴で優しい従業員たち
人との繋がりの中から生まれる
生きる希望
小さな希望が日常を潤す
静かな映画です
フォークリフト戦争
見始めてすぐ、ちょっと黄色がかった映像のためアキ・カウリスマキ作品かと思った。いや、それは『希望のかなた』ですから!タイトルも似ていた・・・そんな最初のBGMは「美しく青きドナウ」や「G線上のアリア」。最後はクレイジーケンバンドか?と期待したけど違ってた。
青年クリスティアンが仕事を始める際に必ず七つ道具と腕に施されたタトゥーを隠すカットが必ず映される。元は窃盗などを繰り返す不良少年だった彼も心機一転、働くことに喜びを覚えるようになっていく。
ブルーノという直属上司。休憩時間がやたら長かったり、ユルゲンとチェスを楽しんだり、どことなく統一される前の東ドイツでの生活スタイルから脱却できなかったのかもしれない。コストコみたいな大型スーパー。その場所はトラック集配所だったところをスーパーに買収されたらしく、再統一という言葉もベルリンの壁崩壊と絡めていたように感じました。
メインとなるのは人妻でもある菓子部のマリオンに恋心を抱いたクリスティアンの話で、周りの同僚たちもみんな気付いているところが可笑しい。でも、誰も「人妻だからやめときな」などとは言わない。「マリオンの夫は乱暴者でなぁ・・・」などと彼に伝える程度。大型店ではあるが家庭的な優しがにじみ出るスーパーなのです。
フォークリフト講習会でのビデオはまるでホラー映画。逃げたくなります。恋する男はちょっとしたことでミスをする。やばいよ!なんだか事件が起こりそうな気もする。しかし、もっと悲しい事実も訪れる。「海」とか「シベリア」とか倉庫の中の再発見や、天井の高い通路での人生観。どこか寂しい人ばかりが集う店には温かさが満載だった。
みんな必死に生きている
ドイツの巨大スーパーマーケットが舞台、主人公は内気で刺青の多い青年、在庫管理係として採用されて先輩から仕事を教えてもらう。
いろんなタイプの人たちがいるが、みんな必死に生きている感じ。
主人公は自分より年上の同僚女性に恋をしてしまい・・・。
みつめる視線が温かい。
語らないからって感情がないわけではない、語らないからこそ心に秘めているものが大きい。
ブルーノ(ピーターカース)のような存在の人がいれば、クリスチャン(フランツ ロゴスキー)のような社会に受け入れにくい存在(例えば、この映画の場合、内向性、少年犯歴、刺青、貧困など)の人が生きにくく道に迷っていても、なんとかやっていけるんだよなあと思った。
上に立つものの理解と寛容さが社会の中で生きにくく迷っている人のために、(この場合はスーパーの通路という狭い場所だが、心を寄せ合い生きて行ってる場所である)大事なんだよなあ。なんでもやれて優秀と言われ、自分の進む道を知っている人ばかりが、世の中に住んでいるわけじゃないからね。この映画をみて、是枝監督の「万引き家族」を思い出した。社会的立場の弱いもの、この人たちが家族という仲間を作って生活をしている。
弱いもの、道に迷ったものに寛大になれて、理解し、それを消化できて共感できる社会を作るべきだと。自分の時間を人のためにあげられる、人の話を聞いてあげられる時間を持つこと、それに、問題がある同士がいたわりあえる社会が必要なんだけど、今の社会は、一般論だが、人の問題を聞いてあげていない社会になり、自分の気持ちを吐き出す場所もなく一人こもって孤独になってしまう。レッッテルを貼らない、そして、十人十色のコンセプで人一人一人をみたいと思う。
主人公クリスチャンがトラブルを抱えるとそれに対面して行くのでなく、自分に自信がないから、そのトラブルを避けて通ろうとする本能が働き、それが、酒、ゲーム、にのめり込む結果になったり、悪い習慣に戻ったりしてします。はっきり断ち切ることが難しいし、自分の気持ちも酒の力を借りないと吐き出せない時もあるようだ、そうでない時もあったが、クリスチャンは自分、そのままで居られる場所を(自分の場所)を暗黙に探しているようだ。
観たいとずっと思っていてやっと観られた映画だ(インタビューから察するとロゴスキーはものすごく多弁で、冗談ぽく話す男で、彼の、言葉やバックグラウンドを聞くと、私の好みの思想を持っている魅力的な人))が、なんでだが知らないが私は恋愛の映画と誤解していたようだ。なぜ、私自身が誤解していたかわからないが、この映画は「量販店の通路で生きている人の生活」であり、その一部が恋愛であったり、悲しみであったり、力のある量販店の労働者の雇用賃金労働条件問題であったり、苦悩だったり、小さな幸せなどであったりする。それに、クリスチャンの乗って帰るバスのから察すると(N3 Miltitz) ベルリンの壁崩壊後の旧東ドイツで、その社会変化についていけないブルーノーの気持ち(トラックの運転手に戻りたい。)が彼を死に追いやったのかもしれないし、フォークリフトとしてクリスチャンを育ててから(後継者)、自分の命をたったのかもしれない。私にとっては想像するしかない。
ブルーノの言葉は私の心に突き刺さる。例えば、自分のところでビールを飲めとクリスチャンに声をかけて家の連れてくる。これは明らかにクリスチャンにたいして家で泥酔してもいいといういたわりの行動で、クリスチャンが外に出て悪い道に戻っていかないようにしてくれているのだと思った。それに、クリスチャンが好きになったマリオンについても、ブルーノは次のように言っている。
クリスチャンはそこにいなければならない、マリオンのためにも。クリスチャンはいい男だ。それは、みんなが知っている。
この意味は、そして、エスキモーの挨拶は、クリスチャンはマリオンに一線を置いていることだと思った。
クリスチャンの寡黙で、口数が少なく、いや、自分の感情を口に出すととが得意でないようだ。また、それをブルーノーが、認めているというか、クリスチャンそのままを受け入れている。他にも、クリスチャンは未成年の時、犯罪を犯しているし、仕事場に遅刻をしてきたりしている。でも、ここで、 ブルーノは絶対批判していない。(日本でよく言われる、今の若者は??じゃない)そして、批判の代わり、「一緒に働いているから、何も言わなくてもわかる』と。すごくない!!!!感激したよ!!!
(このレビューは徒然なるままに書いたものである。ここでやめとかないと延々とかけるんで。)
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