「現実と幻想の境界の消失。もしやこれは…」プーと大人になった僕 beshさんの映画レビュー(感想・評価)
現実と幻想の境界の消失。もしやこれは…
実写CGとしてのプーの造形描写が秀逸。めちゃかわいい。さすがディズニー。それを楽しむだけでも、老若男女にオススメできる。お話もシンプルだし、テーマ性も働き方改革のご時世にあって、ワークライフバランスうんぬんに悩んでいる人々には響くだろう。
しかし、童心が生み出したファンタジーの世界という核の設定を崩し、どうにもプーの存在に説明がつかないことが引っかかる。
トトロのように古より在りし神なる存在というわけでも、トイストーリーのように人間界での実在に差異があるわけでなく、モンスターでもなければ、人間の魂が乗り移った人形でもない。ファンタジー、SF、ホラーなどの名作には、「虚」と「実」の折り合いをつける工夫がみられるものだが本作にはそれがない。ロンドン市内で認識できちゃう喋るぬいぐるみってナンダ??といささか気持ちが悪い。
ハードワークな現実パートと、何もしないを良しとするプーの世界。話が進むにつれ、その2つが同居するリアリティラインが歪み、現実世界の象徴としての理事会が子供騙しのソリューションで落着をみることから察するに、もしやこれは全てが夢オチ?妄想オチ?なのかと、勘繰ってみたくなるユルさ。
個人的にはユアンマクレガーと幻想的な世界の合わせ技となると否が応でもトレインスポッティングがダブる。水中で溺れそうになるシーンはオマージュにさえ思えたり。そうなると、もしやこの話全体がマーク・レントンの壮大な幻覚の中なのか?ベグビーに引っ叩かれて眼が覚めるパロディとかやったら楽しそうだなとか、どうでもいいことを考えさせられ、結果的にわりと楽しめた。
と思ったら世界には既に同じこと考えてマッシュアップ作ってる猛者が。
Poohspoting
https://youtu.be/MyeB8WxugTQ
素晴らしい。