「これはヒーローじゃなくてヴィランだろ!!」ヴェノム といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
これはヒーローじゃなくてヴィランだろ!!
公開当時は色んなところで話題になっていましたね。間違いなく面白いだろうと思ってはいたんですが、私自身がマーベルやDC系のアメコミヒーロー映画に全く興味がない人間でしたので、公開時は劇場に観に行くことはありませんでした。公開から3年経過した今になって、友人からの勧めでようやく重い腰を上げて鑑賞することにしました。
結論。当然ながら面白かった!!
一般人が地球外生命体「シンビオート」に寄生されることで超人的能力を発揮するというタイプのアクション映画で、そのストーリーからどことなく日本の漫画『寄生獣』を思い出しました。ごく普通の一般人である主人公と地球外生命体のバディものアクション映画。監督が『ゾンビランド』などのコメディ系作品を多く手掛けたルーベン・フライシャーだからか、掛け合いの会話が非常にコミカルで面白い。アクションはもちろんのこと、アクション以外のシーンも非常にクオリティが高くて楽しめました。
・・・・・・・・
かつてライフ財団という巨大財団のスキャンダルを狙った故に業界から干され、惨めな生活を送っているジャーナリストのエディ・ブロック(トム・ハーディ)。ある日彼の元にライフ財団の研究員を名乗る女性から「ライフ財団は人体実験によって多くの死者を出している」という告発を受け、調査を依頼される。財団の研究所に忍び込んだエディは実験体にされていた被験者に接触してしまい、財団が密かに回収・実験していた地球外生命体「シンビオート」であるヴェノムに寄生されてしまうのであった。
・・・・・・・・・
人間×人外のバディものは個人的に結構好きです。個人的な好みにも刺さる内容でした。
本作を観ていて思ったのは、「全然ヒーローっぽくない」ということです。これは多分狙ってそうしてます。悪人だけじゃなく、一般人であるはずの警察や機動隊でも容赦なく殺害するので、他のヒーロー作品には無いオリジナリティを感じました。主人公エディに寄生するヴェノムは人間に迎合しないし、人間を理解することもしない。あくまでも自分のために、宿主であるエディに危害を加えられるのを防いだり悪人を殺害したりするわけです。エディもその性格を利用し、ヴェノムの超人的な能力を享受しながら、エサとして人間(悪人)を差し出すという提案をする。
協力ではなく共生に近い関係性です。エディとヴェノムはお互いの利益のためにお互いを利用しているという綱渡りのような奇妙なバランスを保った関係性で、それでもラストは爽快感が得られる綺麗なエンディングを迎えるという違和感を含んだラスト。非常に良かったと思います。