「チワワよりも可愛いヴェノムが、旧『3』の汚名を払拭!」ヴェノム 平田 一さんの映画レビュー(感想・評価)
チワワよりも可愛いヴェノムが、旧『3』の汚名を払拭!
ビックリ!面白いし、抜群にテンポが良い!それに何よりヴェノムのキャラがとにかく求めたヴェノムだった!凶暴で貪欲で、暴飲暴食してばっか(笑)。多少の粗さは否めないけど、十分満足できました!
一番なのはグロテスクで愛嬌たっぷりすぎるヴェノム!旧『3』は節操のないC級エイリアンみたいで、活躍ぶりも映画自体もさほど感じるものが無かった(原作自体は未読だけど、それでも微妙と言うしかなかった)。
今回はファン待望(?)!112分のソロ映画!ヒョロっとしていたトファー・グレイス(『イン・グッド・カンパニー』)の後任はトム・ハーディ(『ダークナイト ライジング』)!しかも演じたベインを蝕む毒の名前はきしくも“ヴェノム”!!もはやヴェノムに選ばれるのは必然だった!?ぐらいの一致!で、本編の活躍も“よくやった!”と言えるレベル!
一貫してシリアス演技に徹するものだと思っていたら、そこから生じるコメディ要素もふまえた上でのお芝居で、『ど根性ガエル』や『寄生獣』に通ずるのも納得(『Black & White/ブラック & ホワイト』での経験も少し活きた?)。なのでヴェノムに振り回されるエディはシリアス、ゆえに可笑しい。本人にしてみたら大迷惑極まりないけど、そういう凸凹コンビっぷりって、スパイダーマンで見たこと無い(あくまでライミ版への見解)。だからこそ新鮮だし、新しい息吹を感じた。
ライオットに変貌するドレイクも面白い。自分が世界を導く存在、急進者のように振舞う、アブないけれど絵空事にも思えないキャラクター。昨今の情勢を踏まえてみると居そうだし、演じるリズ・アーメッドもスゴく的を得てたと思う。『ナイトクローラー』だったり、『ジェイソン・ボーン』のCEOと、この人ってグレーゾーンを演じる時がイキイキしてるねw存在感はちょっと薄いけど、ミシェル・ウィリアムズの役も中盤“まさか!!”なキャラクターで、面白いかき乱し役(芝居もへんに力まずに、リラックスしていた気がする)。
ただエディとヴェノムの二人が共闘する経緯だったり、急な描写のトーンダウンが愚策に感じてしょうがなかった。R指定を避けるためとか、MCUへの媚に思えて、一時代前とかのぬるいヒーロー映画的。邪念を取っ払ったものをまずはちゃんと作ってほしい。せっかくの前半パートもそれで台無しにされたみたいで、『トランスフォーマー』(2007)後半パートの芸の無いパクり的…。
ですが映画の満足度は間違いなく高いです。もうちょっと心に残る映画であってほしかったけど、あくまでエンターテインメント。楽しめるのは確かです!
続編の敵らしい彼の“名前”もワクワクですし、次の“俺たち、ヴェノム”の奮闘。陰ながら応援します!