「映像が新しい。意外な佳作にびっくり」トラさん 僕が猫になったワケ Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
映像が新しい。意外な佳作にびっくり
キスマイファン以外には、あまり注目されていないけれど、意外な佳作。
ほんとはネコが嫌いなのに、たまたま売れてしまった『ネコマン』ひとつの一発屋の漫画家・高畑寿々男(北山宏光)。いまは妻の稼ぎに頼りきり、毎日ギャンブルに明け暮れている。そんなある日、寿々男は交通事故で亡くなってしまい、猫の姿で家族のもとに戻される。
コメディタッチだが、家族愛を描く感動的なヒューマンドラマになっている。
"Kis-My-Ft2"の北山宏光の主演で、板羽皆による同名人気漫画を実写映画化。これが初主演というが、そして北山のコメディ演技が自然で面白い。
それを妻役の多部未華子が支え、子役の平澤宏々路(ひらさわこころ)ちゃんがうまい。単なる”猫モノ”ではないし、ネコの着ぐるみをきているがヒトを喰ったようなコメディでもない。
なにより"映像"がデジタル的な高解像度でカッチリとクリア。フイルムライクを狙って眠くなる作品がよくあるが、それよりはるかに好感が持てる。
オープニングの樹木の下のベンチのカットから目を引く。筧昌也監督による、1カットずつのフレーミングと繊細なカメラワークに感心。猫の目線、人の目線、ゆっくりと俯瞰する動き。夜のシーンの雲が印象的。凝りすぎのような光の使い方もあるが、多くの観客はそんなところ観てないし…。撮影カメラマンは黒石信淵? CM撮影を主に活動しているようだ。これから注目。
ネコの着ぐるみは、被り物だけでなく頬に毛を張り付けたりして適当じゃない。またセットの背景や小物に至るまで丁寧に作り込まれている。映像がクリアなぶん、ごまかしが効かない。。
映像はマンガを使ったVFXも新鮮だ。おそらく筧昌也監督はマンガ家、イラストレーターとしての経歴も持っているというのが強みになっている。オーソドックスな編集方法と新しい挑戦をクロスオーバーさせている。
筧監督は、バカリズム脚本のTVドラマ「素敵な選TAXI」(2014/2016)の演出も手掛け、そのつながりからバカリズムも本作に出演している。
(2019/2/16/TOHOシネマズ日比谷/シネスコ)