劇場公開日 2018年11月9日

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「分かり合えたほんの一瞬で私は生きている」生きてるだけで、愛。 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5分かり合えたほんの一瞬で私は生きている

2022年4月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

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悲しい

楽しい

2018年の作品

初鑑賞
ミュージックビデオを手がけてきた映像作家関根光才の長編映画初監督作品
脚本も関根光才
原作未読
原作は『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『乱暴と待機』の本谷有希子

津奈木のアパートに上がり込み住みついた鬱気味で過眠症で無職の寧子(やすこ)に趣里
寧子の彼氏でゴシップ雑誌のライター津奈木に菅田将暉
寧子が勤めはじめるカフェバーの店長村田に田中哲司
村田の妻でカフェバーで働く真紀に西田尚美
津奈木が勤める出版社のゴシップ雑誌の編集長磯山に松重豊
津奈木の職場の同僚美里に石橋静河
村田のカフェバーで働く莉奈に織田梨沙
津奈木の元カノでヨリを戻したい安堂に仲里依紗

引きこもり気味の寧子は同棲している津奈木といまいちうまくいっていない
そんなある日に津奈木の元カノ安堂が現れ寧子に別れるよう命令する
一文なしのため引っ越し費用を稼ぐため安堂の勧めでカフェバーで働き始める寧子

シネコンよりミニシアター系がよく似合う
意外と退屈しない

映画の内容からすれば140人もレビューを書いていることにまず驚かされる
菅田将暉の魅力がそうさせるのだろうか

共感を重要視する人には向いていない作品
ヒロインは模範的とは到底いえないダメ人間だから無理もないが
働かない寝てばかりいる
バイトの面接に連絡もせず行かない
働き始めたら寝坊する遅刻する勝手に休む
店の食器をしょっちゅう落として破損する
勤務時間中トイレでサボる
ウォシュレットのことで共感してもらえないとブチギレる変人だし
「共感できない」「共感してもらえない」と苦しくなるのはある意味において精神的な病かもしれない
かなり昔から十人十色という有難い4文字熟語があるわけだし割り切りたいものだけど

とりあえず特に意味もなく走るシーンの撮影はあまり映画を撮ったことがない監督さんがよくやる手法だがこの作品も例外ではない
そういう点でも初々しい

趣里を味あうための映画
彼女はサラブレッドだが共演の石橋もサラブレッド
百姓や漁師やだるま職人なら親と同じ仕事を始めても誰も叩かないしむしろ賞賛されるが俳優となるとなぜか批判するバカは少なからず存在する
嫉妬なのかもしれないが僕は全く共感できない
趣里は両親よりわりと細かい芝居をするので好感が持てる

趣里と仲里依紗の配役はドハマリで抜群に良い
2人のやりとりが面白い

村田がのんびりしているらしくダメ人間の寧子にもかなり優しい
奥さんもそんな村田の良き理解者
世の中の全てがこんな感じならアジア系の出稼ぎ労働者なんて受け入れる必要ないのに

そんな職場でも嫌になりトイレを破壊し店を飛び出し夜のビルの屋上でなぜか全裸になる寧子
暗くてわかりにくいがそれで良い

冒頭の停電になると全裸で踊る母親は10数年後の寧子のことのようだ

安堂と村田の人間関係がよくわからないがたぶんカフェバーの物件を貸している大家の娘かなんかではないだろうか

反町隆史の後釜が難航しているらしいがそれなら趣里が相棒に抜擢されたら面白いな

野川新栄