「【”Forbidden Lovers 台湾Ver.”美しき女性が大国、中国と対立する台湾の831部隊の「軍中楽園」に居た哀しき理由。紅、丹、緋色の使い方も印象的なヒューマンドラマ。】」軍中楽園 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”Forbidden Lovers 台湾Ver.”美しき女性が大国、中国と対立する台湾の831部隊の「軍中楽園」に居た哀しき理由。紅、丹、緋色の使い方も印象的なヒューマンドラマ。】
ー 中国の、チャン・イーモウ監督の「紅いコーリャン」「紅夢」を代表として、中華圏の映画の赤、丹、緋色の使い方は秀逸だと思っている。
日本映画でも、イギリス兵とヨノイ大尉の”Forbidden Love”を描いた大島監督の「戦場のメリークリスマス」はその範疇に入る名作である事は、万民が知る所である。-
■1969年、中国と台湾が対立していた時代。
台湾の青年兵・バオタイはエリート部隊にいたが、“カナヅチ”であったため「特約茶室」を管理する831部隊で働くことに。
特約茶室とは「軍中楽園」と呼ばれる娼館で、バオタイはそこで影のある女・ニーニーに出会う。
1.二ー二ーを演じたレジーナ・ワンの清楚な美しさ。
二ー二―は、「軍中楽園」の中でも一目置かれた存在で、一日に一人しか”客”を取らない・・。
- レジーナ・ワンはその後、「鵞鳥湖の恋」で久方ぶりに姿を見たが、メインはグイ・ルンメイであり、やや残念であった。それだけ、中華圏の俳優陣の層は厚いのだろうか・・。-
2.「軍中楽園」で”働く”女性達と男達との関係は、基本的には性欲処理という味もそっけもない関係であるが、
・苛めに遭っていたホワシンが娼婦のシャシャと、逃走したり
・年老いたラオジャンが小悪魔的なアジャオに惹かれ、結婚を申し込んだり・・。
- だが、悲劇的結末が待っている。-
と、男女関係が芽生えるケースも描かれている。
3.そして、パオタイが耳にした、ニーニーが「軍中楽園」に来た、哀しき理由。
- ニーニーが息子に密かに電話している”母親”としての優しき声・・。-
4.漸く肌を合わせる、ニーニーとバオタイだが、行為の途中で、彼は自らニーニーから離れる・・。
- 彼の、貞操観念の強さ及び、男としての理性が性欲を押さえつけたシーンである。ニーニーの息子への電話を聴いていれば、そうなるよなあ・・。-
<美しくも、哀しきヒューマンドラマ。
最も驚いたのは、「軍中楽園」が1990年まで続いていたと言う事実である。
罪を犯した女性が、減刑のために来ていた施設が、20年も続いていた事に戦慄した作品である。
男女の行為は、愛あってこそ崇高なものになると思っているので(綺麗ごとを言うな!と言われそうだが仕方がない。私は、”そういった施設”には一度も足を踏み入れた事はないのだから・・。)
「軍中楽園」と呼ばれた施設の哀しさと、娼婦の一人が誰の子かは分からないが、子供を無事産んだシーンには、少しホロリとしてしまった作品でもある。>