「昭和色の日本映画だった」軍中楽園 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
昭和色の日本映画だった
おじさん向け昭和エレジー。切なかった。戻れない川。過去へ戻れる人間は居ない。だから前に進むしかない。
娼婦アジャオの言う事が、一々胸にグサっと来るから。男達に踏みつけられた卑しい女と結婚出来るのか。綺麗なモノを欲しいと思うのはいけないことか。毎日顔を見る度に娼館を思い出す。などなど。この娘の生き方が、結構好き。正直に欲しいものを求めてただけで。
娼館を取り巻く男女の話は、リアルでありながら暗くなり過ぎる事もなく、切なさばかりが胸に残った。
日本では、もうこんな映画、誰も撮ってくれないんだろうなぁ、残念ながら。と思いながら劇場を後にしました。
かなり好き。女優さんの美しさ抜きにしても。
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2/26追記
愚かなるもの。汝の名は女なり。
イヤー、そうとも限らんわけで。
男性陣は、こう。
*本土から台湾へ逃げ渡る国民軍に攫われるようにして、連れて来られた士官長は、故郷の許嫁を思い出させる、瓜二つね娼婦との結婚を夢見る。
*家が金持ちであることへのやっかみから、小隊の苛めに遭っていた男は、心折れた娼婦を恋し、二人で島を逃れて海峡を渡ろうとする。
*初めての経験の相手を心に決めていた男は、恋い焦がれていたはずの娼館の女との「初夜」から逃げ出してしまう。
一方の女性陣。
*欲するものを欲し続け、自分の置かれた卑しい立場に涙した女は、その正直さゆえに絞殺される。
*娼館で身ごもった子を産む女。
*放火殺人の罪の軽減のために娼館に身を投じ、ただただ時の過ぎるのを待つ女。
渡った川は、もう戻れない。
総じて言うと、男の方が愚かだったと思う。恋心ゆえに「間違えた」川を渡る。娼館の女は、不幸で哀しい立場にありながら、強かでもあり、川を見つめる冷たさもあって。
愚かなる男達の戦中の恋心。渡ってしまえば元に戻れないが、渡らなければ手に入らない幸せもある。誰も彼もの気持ちが、よーーーーく判るだけに、心に滲みる映画でした。
今晩は。
”日本では、もうこんな映画、誰も撮ってくれないんだろうなぁ、残念ながら。と思いながら劇場を後にしました。”
私は、後年発表された広島を舞台にした「彼女は夢で踊る」(個人的に、とても好きです。)がストリップ譲と、慰安婦という違いはあれど、何となく感触が似ているなあと思いました。
随分前の映画ですので、返信不要です。では。