「『ヒート』がウィスキーなら、これはビール」ザ・アウトロー ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
『ヒート』がウィスキーなら、これはビール
警察対強盗という極めてシンプルなプロットを重厚な物語に仕上げた『ヒート』は男が惚れてしまうような男の美学を描き、まるで上質なウィスキーを飲んでいるかのような味わい深い傑作だった。
この作品にインスパイアされたであろう本作は物語のプロットも登場人物たちの性格や家庭環境、そして音楽さえも似せてきた。途中でこれでは単なる真似事映画にしかならないのでは?と危惧したが、後半で意外な巻き返しを図ってくる。ネタバレになるので深くは触れないが、スパイ映画のようなスリルをねじ込むことで作品に軽妙さを生み出してくるのだ。
言うまでもなく後半の銃撃戦は最大の見せ場。迫力あるガンアクションもさることながら、発砲が始まる前に周囲の一般人が静かに逃げ出すリアリティある演出や渋滞中の道路での双方の距離感を感じさせる巧みなカメラワークに思わず身を乗り出して見てしまった。
ただ、最後のオチは正直不要かなと思ったし、『ヒート』の重厚さを期待する人には少し期待外れに感じるかもしれない。とは言え、近年数が減っている正統派アクション映画の系統であるので、この手の作品が好きな人は押さえておいて損はない。ビールを飲むくらいのライトな感じで男臭いアクション映画を楽しみたいという人には是非オススメしたい。
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