獄友のレビュー・感想・評価
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冤罪に人生を狂わされた人々の爽やかな笑顔
本作で描かれるのは、社会正義ではなく、日本の警察の自白偏重主義の問題や拷問の実態でもない。本作は、冤罪で長期間の獄中生活を強いられた人々の、その体験からくる血より濃い絆を描いた友情映画だ。
犯罪者のレッテルの苦しみ、獄中生活のつらさにこわばる瞬間はもちろんある。とりわけ袴田事件の袴田巌さんの出所直後の姿はショッキングだ。
しかし、それ以上にこの映画にははじけんばかりの笑顔があふれている。まるで青春映画を観ているかのような気分にさえなる。
足利事件の菅家利和さんも狭山事件の石川一雄さんも、みなとても良い笑顔を見せている。主要登場人物の一人、布川事件の桜井さんなどは、冤罪で獄中生活を強いられたからこそ、自分は真人間になれた、冤罪のおかげで人生を豊かに過ごすことができるようになったとさえ語る。
不運ではあったければど、不幸じゃないと彼らは言う。警察組織も社会も理不尽ではあるけれど、それでも人生は素晴らしいものにできると彼らは語りかける。感動した。
「捕まってよかった」と笑顔でしゃべる男たち
そう、支援者を前に挨拶する4人。そんなはずはないんですよ、捕まってよかったなんて。だけど、自虐を含めてそう言える晴れやかな表情。そう、彼らは今、自由を謳歌しているのだ。そしてそのあとにもう一人、冤罪で獄中生活を余儀なくされていた袴田巖さんの釈放。
この5人それぞれを捉えながら、「冤罪」を浮き彫りにしていく。中でも桜井さんの明るさにはこちらが励まされる思いだった。映像は「袴田巖 夢の間の世の中」と若干重複。
いま、頭を駆け巡る言葉は、事件と真実と司法と人間と、自由。
好奇の目で見に行ってしまっていた。
冤罪事件で無罪が確定されるということは、一方で被害に遭われた家族の方々をもう一度崖に突き落とすことになる訳で。
映像には一切映らないが、終わりのない苦しみに今も耐えている被害者のことを想像すると、とても複雑な気持ちになりました。
本当はあってはならないことなのに、こんな悲劇を起こしたのは、真犯人なのか、それとも検察なのか。
怒りの矛先が定まらないまま映画が進んでいきました。
冤罪事件を追った本を読んだことがあるし、冤罪事件のことを取り扱った学習をしたこともあります。
だけど文字や言葉じゃ全然伝わらないものがありました。
今日見た袴田巖さんの姿はあまりにもショックで、そうか 人がこんなふうになってしまうのかということが初めてわかりました。
司法に携わる方には、是非知っておいてもらいたい現実です。
ためらいがありますが、正直な部分を書くと、自分の中には偏見というか、差別の気持ちがありました。
冤罪事件に巻き込まれた方には、それ相応の理由があるからだろうと。
だから、もし近しい関係の中にそんな人がいたら迷惑だな、関わりを持ちたくないな。
無実で釈放されたとしても、自分は特異な目で見てしまうだろうな。
出所後に結婚することなんて、当然あっていいことなのに、奥さんになる人 一体どういうつもりなの?なんてことまで思ってしまったんです。
この映画が自分にとってエグいぐらいに痛みを伴って響いたのは、自分のそういう部分に向き合ってしまったからです。
あくまで個人的な感想なのですが、そういう形で深く心に突き刺さった映画として、この作品のことは忘れずにいようと思います。
青い空の向こうには
何も予定のない休みの日。
何気なく映画でも見るかとこのアプリを見ていたら爽やかな青い空色とおじさん達が笑顔でピースしているポスターに目がいった。タイトルが「獄友」そのギャップに惹かれ東中野まで見に行った。
この映画は冤罪に巻き込まれ無実の罪で何十年も刑務所で過ごした人達が釈放や再審、無罪判決などを受け、シャバ(外の世界)に出たあと、獄中で出会った同じ境遇の友人達との生活を撮った映画
私が印象に残った言葉はとある事件で殺人犯にしたてあげられた人がいった言葉で
「捕まってよかった」
捕まらなかったら今一緒にいる人達にも出会わなかったし今感じていることも感じれなかった。
この言葉はこの人にしか言えないことだと思う。
年齢的にこれからどう人生を生きていくかと考えることが多く、何が良くて、何が悪いのか人生ってどういうふうに歩いて行ったらいいのか悩んでいたときにこの映画に出会ってどんなにつらいことがあったとしてもそこで出会える人がいて何か得るものがあるということを学ばされた。
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