劇場公開日 2018年3月24日

「好奇の目で見に行ってしまっていた。」獄友 ハクタカさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0好奇の目で見に行ってしまっていた。

2018年5月3日
iPhoneアプリから投稿

冤罪事件で無罪が確定されるということは、一方で被害に遭われた家族の方々をもう一度崖に突き落とすことになる訳で。
映像には一切映らないが、終わりのない苦しみに今も耐えている被害者のことを想像すると、とても複雑な気持ちになりました。
本当はあってはならないことなのに、こんな悲劇を起こしたのは、真犯人なのか、それとも検察なのか。
怒りの矛先が定まらないまま映画が進んでいきました。

冤罪事件を追った本を読んだことがあるし、冤罪事件のことを取り扱った学習をしたこともあります。
だけど文字や言葉じゃ全然伝わらないものがありました。
今日見た袴田巖さんの姿はあまりにもショックで、そうか 人がこんなふうになってしまうのかということが初めてわかりました。
司法に携わる方には、是非知っておいてもらいたい現実です。

ためらいがありますが、正直な部分を書くと、自分の中には偏見というか、差別の気持ちがありました。
冤罪事件に巻き込まれた方には、それ相応の理由があるからだろうと。
だから、もし近しい関係の中にそんな人がいたら迷惑だな、関わりを持ちたくないな。
無実で釈放されたとしても、自分は特異な目で見てしまうだろうな。
出所後に結婚することなんて、当然あっていいことなのに、奥さんになる人 一体どういうつもりなの?なんてことまで思ってしまったんです。
この映画が自分にとってエグいぐらいに痛みを伴って響いたのは、自分のそういう部分に向き合ってしまったからです。

あくまで個人的な感想なのですが、そういう形で深く心に突き刺さった映画として、この作品のことは忘れずにいようと思います。

ハクタカ