劇場公開日 2018年5月26日

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「~「銭に支配された人間は、銭の形が見えなくなるぞ。」~」ゼニガタ 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5~「銭に支配された人間は、銭の形が見えなくなるぞ。」~

2018年6月1日
PCから投稿

悲しい

怖い

単純

【賛否両論チェック】
賛:金に執着するがゆえに落ちていく人間達の浅ましさや、そんな極限状態で現れる真の人間性に、思わず考えさせられる。主人公達の感情の交錯も見逃せない。
否:設定にはかなり無理があり、現実味はなし。グロシーンは少ないものの、ラブシーンはあり。

 「闇金ウシジマくん」や「シマウマ」なんかもそうですが、本作を通して伝わってくるのは、理由は様々でもお金を追い求め過ぎたあまりに、やがて自ら修羅の道へと足を踏み入れてしまう人間の浅ましさです。そしてそんな局面にあって、腹をくくってもがき続ける者と、逃れようとして自滅していく者、対照的なそれぞれの姿が描かれているのも印象的です。
 一方で、彼らに金を貸す側の富男と静香の間に、決して簡単には埋まらない溝があることにも、思わず考えさせられます。金の存在そのものに助けられ、狂気の一歩手前で踏みとどまっている静香と、そんな彼とは一線を画し、全てを抱え込む富男。折に触れ2人の感情が激しく交錯する瞬間も、見どころの1つです。また個人的には、安達祐実さん演じる留美に富男が語る、
「大したことない人間になるのを恐れるか、大したことないと思われるのを恐れるか。」
という言葉が、深いなと思いました。
 冷静に考えると、ツッコミどころはかなり多い作品ですが(笑)、「銭」という人間とは切っても切れない因果な物にまつわるドラマを、是非観てみて下さい。

映画コーディネーター・門倉カド