「外見などどうでもいいと思えてくる」エンジェル、見えない恋人 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
外見などどうでもいいと思えてくる
とっても独創的な作品で面白かった
優しくて温かいファンタジー恋愛映画だった
生まれつき透明人間で生まれてきたエンジェルは、母親が入院している病院の隣の家で暮らす少女マドレーヌと出会う
全盲のマドレーヌは、エンジェルの存在を感じ、彼が透明人間とは知らずに友達になり、思春期を迎えた頃に恋人へと発展する
しかし、彼女は視力回復の手術を受けることになり…
偶然にも、最近観た映画「かごの中の瞳」とかなり設定が近い作品
どちらも「全盲の彼女の目が見えるようになったら、僕は捨てられる」という不安を映画にしている
「かごの中の瞳」は、その不安がサスペンスになり、この「エンジェル」は、そこからファンタジーへと発展していく
美しい恋人を持ってしまった男性たちは「こんな自分は、彼女と釣り合わない…」とネガティブな気持ちにおちいってしまうのが、その原因だ
もちろん、それは逆パターンでも同じこと
めちゃくちゃイケメンな彼氏ができてしまった女子は「なんで、私なんかと…」と、悩むに違いない
それならば、「いっそのこと、恋した相手が透明人間ならどうか」という、思い切った提案をこの映画はしている
そうして「恋愛に必要なものは何か。立派な外見か、それとも、そばにいて欲しいという気持ちか」について考えさせる
で、結局、透明人間を恋人に持ったマドレーヌは、どういう選択をしたのか
については、ぜひ、映画を観て確認して欲しい
けれど「かごの中の瞳」は、ネガティブな方向に気持ちが走ったのに対し、こちらは、それとは対象的にポジティブに話が展開していくのが良かった
気持ちが救われる作品になっている
現代は「人種とか、肌の色で人間を判断するのはやめましょう」という、多様性の時代を迎えたているけど、この映画は、まさにその究極の形を提示している
目が見えない状態で愛し合っていた二人が、目が見えた途端に破滅するなら、本当に二人は愛し合っていたとは言えないのではないか
彼らを見ていると「本当に外見とかどうでもいいな」という夢の世界が見えてくる
愛の形は、人それぞれなのだ