「設定のおかしさのために作品に入り込めず」クワイエット・プレイス Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
設定のおかしさのために作品に入り込めず
総合40点 ( ストーリー:20点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )
音を立てるとどこからともなくあっという間に化け物がやってきて人は殺される。その恐怖感を味わう作品。ただし全編で背景音楽はよく流れています。
とにかく音を立ててはいけない。そうそうに音を立てた幼児が化け物に襲われるので、そのやばさはわかる。だが音を立てられないという我慢を強いられる生活に、どうにも観ているこちらにも我慢が強いられて欲求不満になる。要するにすっきりしないし面白くない。
それにあの化け物はどれだけ強いのだろうか。何せ襲われるほうはろくに武器ももっていないし、舞台は国民の数くらいに銃が流通しているアメリカのようだが、登場人物は銃1つ持っていないのは何故だろうという疑問が最初からつきまとう。もしかして銃が化け物には効かないという設定なのかと思いつつ観ていたが、他にも設定が胡散臭い。
化け物はかなり遠くからも物音を聞けばかけつける圧倒的な聴力と移動速度をもっているらしいのに、近づいても人の息遣いを聞くことが出来ずに人の存在を探知できないのに呆れる。人は喋らなくてもくしゃみもするし鼾でも寝言でも音を立てる。軍隊は何をしているのだろう。何故人は組織的に抵抗しないのだろう。そもそも人類は音をたてることが出来なければ食糧確保も出来ないし、それなら化け物がいなくても人類は滅んじゃいませんか? 疑問だらけで作品のもつ恐怖感に入っていけない。
そして最後のほうでは銃が出てきて、あっけなく化け物が1つ退治されてしまった。なんだよそれ、やっぱりこの化け物は弱いじゃないの。これってけっこう簡単にやっつけられるのに、物語の都合上、銃を出し惜しみしただけじゃないの。その点では『アフター・アース』と似ている。
そんな感じで物語の設定にずっと不満を抱き続けてしまって、ちっとも楽しめなかった。設定が気にならない人にはいいのだろうが、気になってしまうのだから仕方がない。自分には向いていない作品でした。終わり方も中途半端で、この設定だと化け物が駆除されて平和が戻るような綺麗な終わらせ方にすることが出来ないんだろうな。
続編もあるようですが、観ることはなさそうです。家族愛の描き方は良かったです。