劇場公開日 2019年5月17日

  • 予告編を見る

「もう一歩踏み込んで描いてほしかった」レプリカズ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5もう一歩踏み込んで描いてほしかった

2019年5月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

この手のSF作品は大好きで、予告から興味津々でした。予告で見せたキアヌ・リーブスの天才的マッドサイエンティストぶりは期待通りで、冒頭からテンション上がる映像で作品世界に引き込まれました。派手なアクションこそないものの、荒唐無稽なハイテク実験を続ける主人公ウィリアムから目が離せなくなりました。

とにかく主人公ウィリアムがマッドすぎです。家族との交流場面が少なかったせいか、家族への愛というより科学の進歩への好奇心が、彼を突き動かしているように見えました。そのため、彼がなんの躊躇もなく倫理的にアウトな実験を重ねる姿に、強い違和感を覚えました。これは、ラストの落とし方についても同じで、展開としてはおもしろくはあるのですが、「こんなラストでいいの?!」と言いたくなりました。

また、ウィリアムに振り回された挙句、全く報われなかったエドが不憫でなりませんでした。彼こそ、最後に救ってあげるべきではなかったのでしょうか。とにかく徹頭徹尾自分本位に行動するウィリアムに、狂気を感じこそすれ、共感はできませんでした。

ストーリーとしては、伏線やどんでん返し等を仕掛け、それなりに楽しむことができました。一方、伏線かと思いきや最後まで回収されないシーンやツッコミどころもいくつかあり、脚本がもう少し洗練されていたら…と思わなくもありません。

というわけで、娯楽作品としては十分に楽しめましたが、もう一歩踏み込んでウィリアムの苦悩や葛藤を描き、見る者に訴えかけてくるものがあれば、作品に深みが増し、さらによかったのではないかと思います。

おじゃる