「【インド人の死生観を父と息子の関係をユーモラスに絡ませながら描き出す。】」ガンジスに還る NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【インド人の死生観を父と息子の関係をユーモラスに絡ませながら描き出す。】
冒頭、ダヤの幼い頃のシーンから映画は始まる。
自らの死期が近いというダヤ(それにしては、劇中元気そうで、食欲も旺盛である・・。)は、ガンジス河畔の聖地バラナシへ行くと言い張る。
仕事に追われる息子ラジーブが上司に嫌味を言われながら、同行することに。
漸く辿り着いた、ミシュラという商売っ気タップリの男が経営する”解脱の家”には、”旅立つ日”を待つ人々が暮らす。
10日間で”逝く”筈が、ダヤは依然として元気そう。
ラジーブの作る食事に文句を言い、夫を送ってから18年も滞在するヴィムラとの交流も始まり、美味しい食事も頂く・・・。
一緒に暮らすうちに父と息子の距離は近くなり、ラジーブが一時的に呼び寄せた妻と娘との関係性もユーモラスな要素を塗しながら描き出す。
あんなに元気そうだったヴィムラがある日突然亡くなり、ガンジス河畔でサフラン色の布に包まれ、人々が淡々と儀式を行なうシーンや、
ダヤが亡くなるシーンも映像で描かれる事はなかったが、
- 父の棺を担いだ息子ラジーブが、ガンジス河へ向かう細い石畳の坂道で涙するシーンは、沁みてしまった。ー
<”死は一つの過程”という死生観を、家族の絆という普遍のテーマに基づき優しい視点で描いた作品。>
<2019年1月29日 シネマテークたかさきにて鑑賞>
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