劇場公開日 2018年10月27日

  • 予告編を見る

「【インド人の死生観を父と息子の関係をユーモラスに絡ませながら描き出す。】」ガンジスに還る NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【インド人の死生観を父と息子の関係をユーモラスに絡ませながら描き出す。】

2020年3月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 冒頭、ダヤの幼い頃のシーンから映画は始まる。

 自らの死期が近いというダヤ(それにしては、劇中元気そうで、食欲も旺盛である・・。)は、ガンジス河畔の聖地バラナシへ行くと言い張る。

 仕事に追われる息子ラジーブが上司に嫌味を言われながら、同行することに。
 漸く辿り着いた、ミシュラという商売っ気タップリの男が経営する”解脱の家”には、”旅立つ日”を待つ人々が暮らす。

 10日間で”逝く”筈が、ダヤは依然として元気そう。
 ラジーブの作る食事に文句を言い、夫を送ってから18年も滞在するヴィムラとの交流も始まり、美味しい食事も頂く・・・。

 一緒に暮らすうちに父と息子の距離は近くなり、ラジーブが一時的に呼び寄せた妻と娘との関係性もユーモラスな要素を塗しながら描き出す。

 あんなに元気そうだったヴィムラがある日突然亡くなり、ガンジス河畔でサフラン色の布に包まれ、人々が淡々と儀式を行なうシーンや、
 ダヤが亡くなるシーンも映像で描かれる事はなかったが、
 - 父の棺を担いだ息子ラジーブが、ガンジス河へ向かう細い石畳の坂道で涙するシーンは、沁みてしまった。ー

<”死は一つの過程”という死生観を、家族の絆という普遍のテーマに基づき優しい視点で描いた作品。>

<2019年1月29日 シネマテークたかさきにて鑑賞>

NOBU