「もう少し詰めればピりっとしたように思うが」運命は踊る りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
もう少し詰めればピりっとしたように思うが
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ある日、兵役中の息子ヨナタン(ヨナタン・シレイ)が任務中に戦死したという報せが届く・・・
というところからはじまる物語で、動揺する夫妻を描いた後、息子の死の報せは誤報だったことがわかる。
誤報ならば、息子をすぐに帰還させろと息巻く父ミハエルが映し出された後、映画は、ヨナタンが任務に就いている辺鄙な検問所のエピソードへと切り替わる。
むふふ、なるほど、両親のエピソーの前に起こった息子のエピソードを描くわけね。
と、納得し、とすると、その後は、帰還した息子のエピソードが描かれるのだろう、と、まぁそのあたりは想像に難くないし、それに近い展開となる。
悪くはないし、タイトルどおり、踊る運命も描かれ、それを象徴するダンスステップのフォックストロット(原題)の説明も入るので、懇切丁寧な感がなきにしもあらず。
エピソードごとに登場人物たちの心情も丁寧に描いていて、緊張と緩和のバランスも巧みなのだけれど、どうも、俯瞰ショット(さらに丁寧に移動までする)の多さは、ちょっとやりすぎ感があって、興ざめ。
俯瞰=ひとと異なる視点、であり、神の視点、運命の視点というところなのだろうが、多用しすぎで、効果が減じられているような感じ。
割けたはずの運命が、再びやってくることを、同じところをぐるぐる回るだけのフォックストロットに喩えているのだから、そのステップの足跡をみせて、俯瞰シーンはもう少し削れなかったか。
それほど捻ったストーリーでもないし、三幕物のピリッとした小品ならば、あと15分ばかしは削れるんじゃないかしらん、などと思った次第。
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