「おかしな国」運命は踊る よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
おかしな国
なんとも皮肉な運命のいたずらを描いている。話の筋としてはそれだけなのだ。後になってから、余計なことをしなければよかったと思うことは、人生の中でままあることだ。
それだけの話を映画がどのように表現しているのかをじっくりと味わいたい作品である。
多用される垂直方向からの俯瞰のショット。懐かしさを掻き立てる音楽。兵士たちの休憩小屋の傾きなどの、寡言にして雄弁な演出。陰陽的な照明。
いつも被写体となっている人物のあずかり知らぬところで、重要な事態が進行する。
そして、いつしか観客はイスラエルという国の滑稽さに辿り着く。事態は当事者にとっては深刻なものだが、それらを引き起こした原因は非常におかしなもので、おそらく世界にこのような国は他にはないだろうと思わせる。
コメントする