「今年はパラレルワールドの当たり年?」あした世界が終わるとしても kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
今年はパラレルワールドの当たり年?
唐突な古谷徹のナレーション。いろいろと批判もあるようですが、やはりここは笑いどころなのでは?と、鑑賞後に笑えなかったことを悔やんだ。ウルトラマンのカラータイマーや仮面ライダーの突然のナレーションなんて慣れっこになってるせいでしょうか、むしろ冒頭からナレーションで始まるほうがわざとらしさを感じてしまいます。
告白するぞ!って大事なところで、もうひとつの日本=日本公国からやってきた主人公真(シン)にそっくりのジン。パラレルワールドでは一人が死ぬと、リンクしてもう一人のそっくりさんも死ぬ。なるほど、これで健康体の人間が突然死する理由がわかる。日本公国では格差が極限状態にまで達し、コトコという公女が実権を握る独裁国家だったのだ。そのため逆らう者は粛清され、内戦によって都市は荒廃、常に戒厳令が布かれる状態。そこで、レジスタンスのジンがコトコと相対する琴莉(コトリ)を暗殺しようと現れたのだ。いや待て、暗殺対象の琴莉は真が告白しようとしていた幼なじみなのだからややこっしい。さらにはコトコが放ったロボット(知能搭載遠隔人型兵器マティック)のミコとリコが真を暗殺するため、この異世界へとやってきたのだ。
日本公国はまるで中国紫禁城のような雰囲気で、しかも電磁バリアが張り巡らされた(と思った)ドームに囲まれてる。不気味なパラレルワールドを象徴するような建物だ。これがフルCGで描かれるキャラによく似合ってるのだ。ゆらゆらゆれるポリゴンのようなCGには最初違和感もあるのですが、次第に慣れてきます。
こうして暗殺合戦のようなストーリー展開となるわけですが、公女コトコは実は12人の公卿によって動かされている傀儡政権みたいな立場だとわかり、こっちの世界でも連続通り魔事件が起きて公卿が8人も殺されたりします。こっちの世界では普通のおっさんだったりするので、暗殺も簡単みたいです。パラレルワールドの割には苗字は一緒だが名前も違うし、性格も全然違ってたりする。だけど、なんとなく理解できます。
普通のSF物語と違う点は、例えば強力な時限爆弾が作動してしまったらギリギリのところで解除するとか、ヒロインが死にかけてもギリギリのところで助かるとか、そういった予定調和な部分が無いところです!20万人くらい被害が出たりする爆弾が爆発、ヒロインは殺され、こっちの国の大臣や首相もみんな殺されちゃいます。公国では政治家も普通のおっさんなんでしょうね・・・。そんな展開が好きです。都市ごと転送ってのも凄いし・・・
ラスト、ヒロインである琴莉が生き返ってるようなカットもありましたが、妄想、希望、夢とか、なんとでも解釈できるのかな。そんな曖昧な終わり方なおかげで、TVで放映されたらまた見てしまいそうです。