「お祭り映画と割り切るべきか」映画HUGっと!プリキュア・ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ movie46さんの映画レビュー(感想・評価)
お祭り映画と割り切るべきか
最も気になったのはキャラクター同士の棒立ち会話でした。映像作品の意義であるはずの視覚表現が全く効果的に使われていません。多用される説明口調の会話は小説でも読まされているかのように退屈で、脚本の良いようにキャラクターが動かされてるのが一目瞭然で不自然さが目立ちます。赤ちゃんが泣き叫ぶシーンやギャグ等が間延びして尺が足りない事が原因ではないでしょうか。見せたいシーンが優先され物語はおまけ程度、このバランスの悪さは映画作品として致命的だと思います。せっかく歴代の声優が出演しているのに赤ちゃん声では誰だかさっぱりで非常にもったいない。悪役キャラが歴代の技名や口癖、決めゼリフを大量に繰り出すのに、当の復活した歴代プリキュア達は全く言わせて貰えていない。現行シリーズはキュアエール以外ほぼ空気。そして初代組には強い違和感があります。今までどれだけ苦しい状況に立たされても決して負けなかったキャラクターが、この映画では完全にリセットされており、現行シリーズと一緒になって右往左往するばかり。今までのオールスターズシリーズでは、先輩プリキュアは強い困難を乗り越えてきた頼もしい存在として描かれてきたのにこれではあんまりです。キャラクターの扱いに関しては不満点を挙げればきりがありませんので割愛します。同人作品か何かを見せられているのかと感じました。良かったのはきめ細やかな動きや派手なアクションが進歩したCG技術。ただ、物語的に使う意義の全く無いCGを無理やり使うために最低限の脚本を犠牲にし、その代わりとして映像技術に頼るしか無いのであれば、これは現実的では無いと思います。プリキュア映画はCG技術の展覧会になってしまっています。やるなら昔のように映画のエンディングだけにしておいたほうが良いかと。それっぽい話に音楽と最新CGを織り交ぜ、過去のシーンを見せるだけなら秋映画の枠をわざわざ取らなくても良かったのでは。歴代シリーズが積み重ねてきた貯金だけで作られたこの映画からは、プリキュアというコンテンツの偉大さを強く感じました。