「アトラクション的ホラー映画としては充分に楽しめたし、満足。」IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 ウシダトモユキ(無人島キネマ)さんの映画レビュー(感想・評価)
アトラクション的ホラー映画としては充分に楽しめたし、満足。
ちゃんとした“IT”の続きとしてパワーアップしてるし、オチもついたけど、“ソレ”じゃない感。
ペニーワイズの“悪行大喜利”はチャプター1からビックリ度もニヤリ度も、質的にも量的にも向上してると思う。中華料理店のフォーチュンクッキー近辺のクリーチャーのキモさとかも良かったし、個人的にはジェシカ・チャステインが生家に戻って、ある婆さんと遭遇したクダリがむっちゃ良かった。「画面奥の方とか隅の方でチョコチョコ何かやってる感じ」がすっごい好き。
アトラクション的ホラー映画としては充分に楽しめたし、満足。
ルーザーズクラブの大人組も、俳優それぞれの良さだけじゃなくて、「子ども組との似てる具合」もバッチシだった。だからドラマパート(?)も面白く観れちゃうし、やっぱりマカ坊とチャステイン姉さんの存在感で、作品のクオリティが一定量担保されてる安心感がある。
でもさすがに169分は保たせられず、ダレた。
登場人物ひとりひとりの「恐怖への対峙」がチャプター1から深められていないので、キャストを大人に替えてチャプター1の繰り返しをしているし、そのキャスト5〜6人分の繰り返しという構成的な意味でも、ダレる。
さらにペニーワイズの起源やら倒し方についても、登場人物たちの「恐怖への対峙」と直接関係しているわけではないので、クライマックスの対決への必然性と乗り越える達成感が、物語的な感動に届いていないという感があった。
それらは脚本の問題だと思うんだけど、『死霊博物館』が良かったゲイリー・ドーベルマンに期待してただけに残念だったな。
それにしても、劇中でペニーワイズが何人ひとを殺していても、僕には冒頭にゲイカップルをリンチしてた輩どもとか、序盤でジェシカ・チャステインに暴力ふるってたDV夫のほうがコワくてキモくてイヤだった。そのへんがペニーワイズに対する物足りなさになってる部分もあるのかもしれない。