「ヒット映画のクラフト方法」マインクラフト ザ・ムービー 弁明発射記録さんの映画レビュー(感想・評価)
ヒット映画のクラフト方法
マインクラフトは実況動画を何本か見たことあるくらいの知識で挑む。字幕でいい時間帯がなく吹替にて。
正直、予想より面白かった。
「作るのって壊すことより大変なんだ。だから臆病者は壊す方を選ぶ」的なセリフを終盤でジャック演じるスティーブが言うのだが不覚にも感動してしまった。
それは今作のようなクラフトを題材としている作品でこそ説得力が増すセリフだから。
たいした話ではない。深くもない。でもだからこそ欧米でヒットしたのだろう。
ジェイソン・モモアとジャック・ブラックというヒゲのオッサン2人がメインキャストという思い切った配役。
本当に予想以上に面白くて、やっぱり髭の男2人が主演というところが結構ポイントだっていうような気がする。
アメリカにおけるちょっとあんまりうまくいってない大人の象徴みたいなところがあって、ちょっと冴えない髭と貧乏な髭のおっさんが頑張って活躍するみたいな、そういうところにロマンがあるのかなという気がした。アメリカ映画ではよくあるっちゃあるが。
モモアが結構戦うが割と負けて痛がる場面が多くこれも意図的に演出している。ラストの活躍を際立たせる為に。
マインクラフト詳しい人が見たら細かいネタとかはもっとよく分かるんだろうけど、まあ、ほとんど知らなくてもそれなりに楽しめるという事は映画として結構よく出来ていたと思う。
特に空を飛んで逃げる所がやっぱり結構ハイライトで、モモアの上に乗って飛ぶジャックという構図はもうそれだけで面白いものがあった。
この演出をよくCMで隠したと思う。
ジャックの歌が特に後半にかけて多くここらへんもアメリカの観客にウケているのかもしれない。
全体的にもうちょっと何かを作る場面が多くても良かったと思う。マインクラフトのイメージってあのキューブをどんどん重ねていくところだから。
でもそれこそ映画の組み立て、映画のクラフトとして難しいのだろう。いくら高速にしても実写演者に重ねながらのキューブ積み上げはCGの手間がかかることは分かる。かつ、「モノを作っている最中」の描写は説得力やリアルさを積み重ねられるもののよっぽど演出に工夫がないと地味な絵になりやすい。そしてストーリーを展開させるとなるとどうしても戦う場面、逃げる場面で盛り上げる必要がある。よって「作る場面」は次の場面への準備と見なして意図的に早回し、もしくはカットしている。だからこそこのスピード感が生まれたのだと思う。
投げた場所に移動できるアイテムを中盤でちょっと出してラストバトルで少年が高所に行く手段として使う伏線回収は見事。その高い所から落ちた少年を橋でやられたと思われたモモアが敵の飛行マシン奪って助けに来てくれるベタベタな演出もグッド。たぶんあそこも観客が盛り上がるポイント。
女の先生がエンドロールで村人語を話せるようになってるのもオマケ感があっていい。
後で知ったがあの四角い世界、例えば途中で立ち寄る村とかCGではなくちゃんとセットをクラフトしていた。やはり実物があると説得力が増すというのはあるのだな。
欧米では若い観客が盛り上がり過ぎてポップコーンをぶちまけたり迷惑行為にまでつながっている。興行記録をクラフトできた代償として映画内の豚軍団より迷惑な豚を呼び寄せてしまった。
サービスデーの夜の割に観客が極めて少なかった池袋の映画館は笑い声も映画の轟音にかき消されるほど観客のリアクションは分からなかった。ただこれくらい静かな環境で観れたからこそ映画そのものに集中できたところはある。
この客入りからも日本ではそれほどヒットしないかもだがとりあえず欧米でヒットした映画のクラフト方法は学べた。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。