「『ソウ』と同じく表層的で生理的な怖さだけ描いたお化け屋敷のアトラクション」死霊館のシスター 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
『ソウ』と同じく表層的で生理的な怖さだけ描いたお化け屋敷のアトラクション
『死霊館』シリーズというものがあるのを知らなかったが、こういうものだったのかw
オカルトをキリスト教におけるエクソシズムに限定すると、ここまでくるとオカルトの極北w もはやオカルトと呼ぶべきか否かわからない。いや、名前がどうだろうと構わないが、とにかくクソ面白くもないバカげたお化け屋敷のアトラクションの無作為な展示と化している。
シリーズの中心人物はジェームズ・ワン。彼は『ソウ』の監督だが、大当たりをとった同作と同じ感覚で本作も撮っている(原案・製作)ような気がする。
具体的には彼が描くのは同じ「怖さ」でも生理的な怖さで、注射が痛い、剃刀が痛い、皮膚が切れるのが怖い、臓器を剥きだしにされるのが怖い等々の感覚なのだ。
逆に精神的な怖さがほとんどない。宗教的、共同体的タブーを犯すことで親族や周囲の人間に次々に不幸が襲ったり、共同体が崩壊したり、自分のアイデンティティが崩壊する恐怖が皆無である。
マレーシア出身、オーストラリア育ち、大学は工科大学卒という出自もあるのだろうが、何作か見た作品は表層的な恐怖に終始している。
こういう作風だと社会構造や精神的な風土の違いに影響されないから、世界レベルでは大ヒットを生み出しやすいのかもしれないな。それはお化け屋敷とどう違うんだろう、しかしヒロインはチャーミングでよい…てな感想を抱いた。
いずれにしろジェームズ・ワンの関わった映画はもう見たくないな。
と言いながらこのオッサン、俺の好きなキング作品『セイラムズ・ロット』の製作もやってるのか。それだけは見てみたい。でも見た後は、もっと不満と怒りが湧き上がるかもしれないww