「怖くない」死霊館のシスター はやおさんの映画レビュー(感想・評価)
怖くない
前作から姿を見せるシスター姿の悪魔がビジュアル的に恐怖のツボで、アレがでで来るシーンは全て怖かった。あの悪魔が今回はメインで出てくるということで、どんだけ怖いんだと期待して鑑賞。
しかし蓋を開けてみれば、物語があまりにも非日常的でファンタジーに向かってしまっていて、迫り来る恐怖を前に無駄なものが入り込んでしまい、全力で恐がることができなかった。やはり日常的な場面、つまり鑑賞者の身近に感じるような状況での恐怖体験で無いと、それにのめり込むことは難しいのかもしれない。
例えば本作の舞台は、1950年代という大昔、人里離れた男子禁制の修道院という特殊な場所に、実はあの世との出入り口があるという設定がされているのだが、そのような現場で恐怖体験をする機会は一般人には皆無と言って良い。映画におけるこの設定は、あまりにも非日常的すぎて、あまりにも我々の生活と乖離しすぎている。現代の住宅地で、動かない人形とマンツーマンで向き合う映画の方がよっぽど恐怖を感じないだろうか。
ちなみにわたしの地元では昔、年一回放送される「オキナワノコワイハナシ」というホラー番組があったが、あの番組が地元民を怖がらせたのは、その身近すぎるほど身近な舞台設定にあったのだろう。
本作の演出も少し見飽きたものが多かった。まさか壁に映る影が歩くあの演出を再びするとは思わなかった。前作での影が絵画に重なるシーンは確かに怖かったが、この二番煎じの演出については怖さ半減である。シスターの人影が無機質に近づき、周りのランプが消灯していく冒頭のシーンも、最近の映画とは思えない古風な演出であった。
全体的に、シスター姿の悪魔というキャッチーなキャラクターに頼った力業な演出が目立ち、スピリチュアルな設定も、ぶっ飛びすぎて恐怖を与えきれない、物足りないホラー映画になっている。