心と体とのレビュー・感想・評価
全73件中、41~60件目を表示
けっこうよかった
寝不足で見に行ったら、夢がテーマなこともあって少しうとうとしてしまった。
女の子が深刻な発達障害で、主人公は片腕が効かない。そんな二人が夢の中で鹿になって繋がり合う。あの後、ふたりは幸せになれるのだろうか。あんまりうまく行くイメージが持てなかった。
女の子が会話を反芻したり、シュミレーションするのが面白かった。実際の会話はシュミレーション通りにはならないけど、修正ができなくてちぐはぐな会話になるのが面白かった。
とんでもない出血の量に見えたのだが、平気そうだった。目眩とかしなかったのだろうか。
痛々しい陶酔劇
白雪姫
いかれてる映画でした
ファンタジーのようなリアル
観終わったあとに無表情になる。 そしてその評定のまま”頑張らねば”って少し励まされる。じんわり良い映画。
がっつりラブストーリーかと思いきや、ヒロインの人間成長的な側面も強くて良い意味で裏切られた。愛だけではない。
前半は食肉処理場の生理的な不穏さと共通して見る夢の謎/ミステリーな要素の緊張感でひっぱる、がめちゃくちゃ惹き込まれるわけではありませんでした。
しかし中盤からヒロインのマーリアが変わっていく……いや変わろうとしていく描写が始まってからが素晴らしい。
マーリアは人とのコミュニケーションのとり方がわからない傾向がある。前日に会話のシミュレーションをしたり、ルールから逸脱できなかったりする。
そんな自分の個性をしっかり認識して、人に相談して、自分で変えようとして変化していく。その様子がステキ。
他と違う人だって、それを認識して努力してるんだ。そのために人に相談してもいいんだ。
そんなことを教えてくれる映画。
変わっている人をシリアスとコミカルを含みながら描くのはNHKにようこそ!を思い出した。
ただシリアスとコミカルのバランスは反対かな。本作はシリアス/アート的な側面が強い。
ここらへんが日本と海外の映画/エンタメの違いだなぁ。邦画ではこんな作品にはならない
ラストの朝のシーンの意味は……なるほど、人生ですな。ヨーロッパ映画らしい。
昼のシーンが多い前半から夜のシーンが増える後半。なんだか映画全体で1日だった感覚。
人生全部じゃなくて、人生のちょこっとを切り取った物語なのかも。
ラブストーリーであるし、”人生”、”生きるってこと”はどういうことなのか教えてくれる映画。生きづらく感じてる人ほど響きそう。
ポスターなどの印象ほどは重い/暗い作品ではなかったです。軽い作品でもないけど;そういう意味では人生ここにあり!にも近いかな。
あと夢に現れる鹿の神秘性には目を奪われる。鹿の顔ってすごいな。神様みたいだ。目と毛並みを見ているだけで体の血がドクっと脈打った。
あと演技が完璧。CG?
同じ夢
同じ夢を見たのがきっかけで惹かれ合う2人。
あの夢を何度も何度も見合うというのはどうゆう事なのでしょうか。
お互いの願望が夢の中で繰り広げられているのでしょうか。
主人公の女性は、人とのコミニュケーションが苦手と言うよりは、一種の病気をお持ちの方なのだと解釈しました。
Bランクにする牛の肉の理由に数グラムのズレすらもわかる、細かいことにずば抜けた知識があり、人とのコミニュケーションは苦手。
そんな彼女の笑った顔をずっと見てないなと思いながら映画を見てました。
リストカットして死のうとしていたら、腕の悪い彼からの電話で、ハッとなったシーンはソワソワしました。
最後彼と結ばれて2人で朝食を食べているシーンで初めて彼女が笑ったところは素敵でした。
パンクズが気になってるのも彼女だからこそのシーンてますね。
好き嫌い分かれると思います、淡々とした人の日常を見るのが好きな人はおススメです。
マーリアかわいい!
マーリアかわいい!ってひたすらそこに注目しちゃったな。
《心と体と》ってタイトルがテーマになってると思うんだけど、そこより「マーリアかわいい!」ってところに気持ちがいっちゃう。初めの方に自宅の食卓で「うまく返せれば会話が続いたのかな」ってやるんだけど、もうそこからメロメロ。
だんだん切ない事情も解ってきて、財務部長も「うまくいかないと思う」ってツレナイ態度になるんだけど、これも凄く解る。マットレスから乱暴に空気を抜くところとか「解るわ―、わかる」と思って観てたもん。
あとその前にマーリアが食堂での会話を何回も予習して、その通りに話そうとすることろも「解るわ―」と思った。これ、緊張してコミュニケーション取ろうとするとやっちゃうよね。
それで財務部長にツレなくされたマーリアは浴室で手首切るんだよね。だいたい手首切るシーンって「こんなんで死んだらアカンやろ」とちょっと思うんだけど、これは完全に同意した。もう、これしかない。
そして、救われるとしたら、財務部長が来るしかない。映画の雰囲気的にこのままエンドロールでも成立するので「どうすんだ、どうすんだ」と思ってたら、来たね。そして簡単な決定的な一言。
物語通じて、マーリアは拙いけど、変わろうと物凄い努力すんだよ。それが「愛ってすげえな」と思わせるし、そのマーリアがメッチャ可愛く感じる。
じゃあお前、マーリアと付き合えるのかよって言われたら、どうだろね。日常生活は大変だと思っちゃう。財務部長さんは、そこ越えられるんだよね。愛だから。
テーマの《心と体と》のところは、《心》だけじゃないかって気がしたのね。財務部長さんも体を求めたというよりも、心の証を確かめられるのがそこだったんじゃないかって。
工場の女の人を連れ込んでやる激しい性交と、マーリアとのただ見つめ合っているだけのような性交と、その辺がテーマ関連なんだろうな。愛だな。
許して女神ヘラ ここにはいられない
ハンガリ-版ラブコメwithチョイグロ。
所謂、屠殺場が舞台という特殊な設定に何やら不穏な感じを抱くのだがアバンタイトルは森中の牡牝の鹿。これがかなり綺麗に撮れている。凛とした白基調の背景に2匹の息使いや動きの繊細さ。これが今作の大きなシンクロニシティである。
場面転換で食肉加工工場での屠殺のショッキングな映像。頭を落とされる牛のシーンが何とも物語を濃くしている。只直接的には余り意味を持たさず専らヒロインの検査官の女性の無機質なロボット的行動が描かれる。工場内での窃盗事件での心理アプローチからの聞き取り捜査からもう一人の主人公である財務部長と同じ夢(冒頭の鹿)を観ていたことから互いに意識し始め、そこからの紆余曲折が繰り広げられるのだが、このプロットは日本の漫画によくあるパターンだ。愛情が巧く表現出来ないヒロインがドタバタ劇を繰り広げるコメディタッチは東欧でもお馴染みなのだろうか。ヒロインの健気でいじらしい努力も又、男心が動かされ、中々キュートな演出である。
ラスト前の二人の諦めからの自殺未遂のシーンはかなりキレキレのジェットコースター展開。かなりエグく縦に手首を斬るのも、凶器をわざわざガラス戸を割って(いつもガラス越しに外界を観ていた事への復讐のように)使うのもやけにリアリティを表現していて、前半のとさつされた牛から噴き出す血のそれと同じように心が締め付けられる。女神ヘレの悪戯か思し召しか、CDplayerの故障と彼からのスマホの着信で、切なさから180度転換のトキメキは、病院での治療もそこそこなシーンで辛口のギャグを演出させていてクールだ。
しかし今作品、ラストはハッピーエンドには終らせないオチになる。二人で過ごした翌朝の食事シーンでの明らかに性格の差異の落差の絶望観に先が思い知らされる気持ちにされてしまうのだ。あの夢も観なくなるのも幸福とも不幸とも取れる、観た人に委ねる作りである。メタファ-とダブルミーニングが散りばめられた本作、色々と解釈し甲斐のある良作である。
追記:ヨーロッパに於ける『鹿』は生贄の意味を持つそうだ。なので、映画に於ける『鹿』はマグガフィンとして『犠牲』がテーマになるのだが、本作品における犠牲は、食肉牛なのかな?否、やはりヒロインの恋心が犠牲になるラストだと思ったりするのだが・・・
あなたはとても美しい
まともなコミュニケーションは取れず、何事も極端で不器用すぎて異質なマーリア。
記憶力や視力に長けていたし、彼女は発達障害的な性質なんだろうな。
最初はそのあまりの融通の利かなさに引いてしまったけど、密かな会話のシミュレーションや医師とのやり取りから彼女なりの努力が見て取れて胸打たれた。
鹿の夢の役割と意味が分かってからは、ドキドキしてたまらなくなった。
二頭の鹿の目が映るたびに、言葉が無いからこそ伝わる何かを伝え合っているような気がして。
少し不思議な密会を覗いているような気持ちになる。
恋心を自覚してからの、「普通」の枠から外れたマーリアの努力の仕方が一々おかしくて可愛くて、もう応援が止まらない。
小さな少女の成長を見守っているような愛しい感情が湧いてきた。
マーリアはもちろん、エンドレもあまり表情豊かな方ではないので、二人が顔を見合わせて微笑むたびにギュッとなって涙がこぼれてしまう。
本当に些細な瞬間も特別なことのように思えた。
きっとこの先も難しいことがあるかもしれないけど、共に朝を迎えた二人の笑顔と現れなくなった鹿の夢から、ささやかな幸福の未来が満ち満ちていることが伝わってきた。
冬の森の中の鹿、食肉工場、窓に映る姿など、映像がとても綺麗だった。
食肉工場に流れる血液と一度振られたマーリアが手首から流した血液の映像が重なって、でもその血の意味は全然違うことにハッとした。
音響とコロコロした音楽も素敵。
些細な音も丁寧に拾ってくれるのでASMRのような心地良さがあった。
人を受け止めて、優しくなれそうな映画。
静かにドラマチックでユニークさに溢れていて、とても好き。
私には合わなかった!
予告編の鹿の映像が美しくて、
同じ夢を見る男女と言うのも如何にもヨーロッパ映画的で
惹かれたし…とりあえずそこに星一つ。
他の方の評価は高いけど
私の性分として、
自分が好きになれない人物に主人公が恋をすると、
そこで拒否反応を起こします。
この映画の男優さんのビジュアルが全く好きになれないタイプ!
でもでも、見た目はダメでも、
その役柄に良いとこがあれば惚れる気持ちが解るんだけど、
冒頭から、相手の女性を男目線で見てる感がバリバリで
そう言うのは男性の習性で仕方ないのかもしれないけど
女性が初出勤の日に、早く職場に馴染んで貰う為と言いながら
社員食堂でいきなり真正面に座って声をかけて来る上司って!!
イタリア男の様な陽性な女好きは許せるんだけど
正反対のなんかヌル~っとした空気感で~。
私的にはもう、気持ち悪いパワハラ親父!でしか無かったです。
そんな親父に自分の夢を知られたく無い!ここでシャットアウト!
女性向きの映画では無いかも〜
月に10本程、映画館で映画を観る中途半端な映画好き的には
鹿の映像が繊細で美しくてそこはおとぎ話の様なんだけど
食肉屠殺場と言う、紛れも無い死の工場との対比が
夢と現実の落差として結構凄い感じです。
そこに面接に来た
血なんか全然平気と言い放つ若者に面接官が
「殺される牛への哀れみも無い人は、いつか心をやられてしまう」
とか
人に触れる事、触れられる事に精神的な嫌悪を抱く女性主人公が
やがて殺される牛に触れて、
命の感触や温かみに慣れようとするシーンは
なにかとても象徴的な気がしました。
心に引っかかったのは、そこだけ。
若くて美しい女性が、
愛すべき美点の見つからない中年に惚れてしまうと言う脚本は
単に男の妄想を形にしただけの
マスターベーション的な作品に思えて全然好きになれないんです。
だから私の評価は低いです。
@もう一度観るなら? 「二度と観たく無い!」
5/16追記
この映画がまさかの女性の脚本家兼監督でちょっと信じられない!
好みの差なんだろうか?
兎に角、私には合わなかった!
連続する写真作品のような固定フレーミングの美しい映像
かなり変わった設定だが、まぎれもなく惹かれあう男女を描いたラブストーリーである。
2017年の第67回ベルリン国際映画祭の最高賞、"金熊賞"を受賞を受賞しただけてなく、先日の米アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされている。日本では小規模な公開だが、世界的評価の高い作品である。
ブダペスト郊外の食肉処理場が舞台。毎日、食肉牛が屠殺されている。そこで欠員補充のため臨時採用された代理職員のマーリア。若く美しいが、人間関係が苦手で孤独な独身女性である。また上司の部長エンドレは片手が不自由な中年男性で、バツイチの独り暮らし。エンドレは職場に馴染めないマーリアを気にかけている。
そんなある日、職場で起きた事件がきっかけで、2人がたまたま同じ夢を見ていたことが明らかになる。夢の中では"雌雄の鹿"が登場して、その風景も行動も一致している。その夢は一晩だけでなく、翌日以降も夢でつながる2人は、徐々に近づいていく。
職場も私生活も孤独で不器用な2人は、いわゆる"面倒くさい部類の人間"かもしれない。マーリアは美人なのに恋愛ベタな"こじらせ女子"である。そんな2人の様子が滑稽で、ほのぼのとする。
牛の屠殺は、それを食肉として活用する"つながる生命"の比喩であり、淡々と血が流れる風景がたびたび使われる。雌雄の鹿、人間の男女の営みも"生命"の象徴である。
鹿を捉える映像が美しい。高画質な映画である。計算され尽くしたフォーカス移動は、実にプロフェッショナルな仕事だ。
固定カメラで被写体を捉えるフレーミングが印象的。ほとんどパン(レンズを振ること)を使わず、定まったカットはひとつひとつが美しい。まるで連続する"写真"を見ているような完ぺきな芸術性に唸る。
そんな監督は、18年ぶりに長編を手懸けるハンガリーのイルディコー・エニェディ。約30年前のデビュー作品「私の20世紀」(1989)は、カンヌ国際映画祭カメラドール(最優秀新人監督賞)を受賞している。新作が18年ぶりになった理由は、予算をはじめ、単に製作条件が揃わなかっただけらしいが、久しぶりで"最高賞"というのも凄い。
(2018/4/25 /新宿カリテ/シネスコ/字幕:西村美須寿)
不器用な大人のおとぎ話に震える
2人の関係は痛々しくて神々しい。
心が震えるとはこういうことか。
ヒロインが足先を斜陽の線から影に引き込むショット。美しいショットだ。
鹿の夢は神様のいたずらか。
不器用な大人の現代のおとぎ話に最後まで目が離せなかった。
痛々しいくて神々しい。グロテスクな自傷場面。牛の殺傷場面。カメラは遠慮なくそのままを直視させる。
しつこいぐらいに。
ヒロインが本当の自分の人生に気付き、目覚めて、本気で生きたい!と強く渇望する時。
一生懸命自分から脱皮しようとするけなげさが胸を打つ。
私達は痛々しくて、滑稽で、かっこ悪い事はいやだけど。どうしても恋をすると自分をコントロール制御できなくなる。
でもそれが周りの人に共感され、思わぬ人の優しさを引き出す。
その無様さが愛しかったり…
鹿の圧倒的な美しさはなんだろう?
説明なんてできない。自然と地球と美しく共存している姿は圧巻で圧倒的だ。
鹿の眼差し。吐く息。森を駆け巡る力強さ。
あの映像がなければこの映画はここまで美しくならなかった。
想像を超えた世界に連れて行ってくれた作品に感謝です。
悲しみに寄り添う映画。
自分で自分の心がつかまえられない。
自分で自分の体がつかまえられない。
苦しい。ほんとに苦しい。
誰かがいてくれてはじめて、自分の心も体もつかまえられるのかも知れない。
孤独が無音を運んでくる。悲しみや苦しみを逃れようと慣れた手つきでガラスを割り、手首を切るシーンが怖ろしかった。悲しかった。
世の中にはこんな世界を生きている人がたくさんいるのだろう。
自分も身に覚えがある。死に誘われるような経験がある。
この映画はそんな世界に寄り添っている。
ラストはあまりにハッピーエンド過ぎるが、そんな『寄り添う』というやさしさが満ちあふれていて素晴らしい。
そのやさしさの象徴である主役の男性がよかった。痩せ我慢の紳士ぶり、かっこよかった。ちょっとイーストウッドの男っぽかった。エッチで紳士、痩せ我慢。
素晴らしかった。
全73件中、41~60件目を表示