「21世紀の南北戦争?」ブッシュウィック 武装都市 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
21世紀の南北戦争?
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ゾンビの出てこないゾンビ映画のようなシュールな展開、地下鉄を降りたら街は戦場だった・・・。
予算の少ない独立プロ作品、中身のないB級バトルものかと思わせて社会派ドラマ顔負けのメッセージを潜ませる巧みさ、一味違います。
途中から21世紀の南北戦争もどきと語られる。もちろん壮大なフィクションなのだがトランプが煽った暴動などの報道を耳にするとあながち荒唐無稽と無下にあしらうことができないからうすら寒いものを感じる。
アメリカの銃社会の現実や、混乱に乗じて略奪が起きるのが当たり前とされる貧富の歪、9.11以降過激さを増した右派イデオロギーなど何も映画では説明しないのに容易に理解できるから秀逸だ。テーマを上げれば「無意味な殺し合いの根深さ」ということでしょうか・・。
只管逃げ回る様子を手持ちカメラで追うのだが「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のような安っぽい手振れ効果で臨場感を煽る手法ではなくステディカムを使った正統派だから酔わずに観ていられる点もありがたい。無駄なロマンスや退屈な人物描写、説明的シーケンスを省いて突き放したような終わり方、ああ無情というところもテーマ性と合致していますね。
元プロレスラーのアニマル・バティスタ主演なので派手な格闘シーンが売りかと思ったら寡黙で知的、9.11やイラク戦争のトラウマに悩む元軍人、抑制のきいた渋い演技に魅了されました。
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