劇場公開日 2019年1月26日

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「頑張れ息子!(ダブルミーニング)」天才作家の妻 40年目の真実 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0頑張れ息子!(ダブルミーニング)

2020年2月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 1992年のノーベル賞受賞にまつわるエピソードと、1958年におけるスミス大の教授と学生という関係の話を交互に描いた作品。若い頃のジョーンがグレン・クローズに似てるなぁ、CGで若返りしたのかな?などと思っていたら、彼女の実の娘(アニー・スターク)だった。

 ノーベル賞を獲るなんてのは凄いこと。それをゴーストライターでもある妻がどのように思い、心変わりがあるのか?などという点を注目してみた。若き頃、略奪愛で結婚したジョゼフ・キャッスルマン教授とジョーン。文才は教授も認めるところだったが、当時は女性の小説家は見向きもされなかったという、女性蔑視のあった時代。自分の小説も発表したいという気持ちもあったが、それよりも教授への愛が勝った形。言い訳がましく言えば、夫の書いた小説をキャラとリアリティ描写を中心に校正しただけともとれる。

 ノーベル授賞式の講演では「私のことは言わないでね」と念を押したジョーンだったけど、それも自分の中に「影の存在」として決着をつけたかった現れではないでしょうか。疑惑を抱いたナサニエル記者の突き刺すような言葉にも動じなかった彼女だけど、どこかで何かがはじけてしまったのか、息子への対応も彼女の誉め言葉より父親の言葉が欲しかったことが響いてしまった。

 浮気性の夫。クルミを使って雪の詩を諳んじるところも面白い。70代の爺ちゃんなのに、妙にセクシーだからだろうか。とにかく未だに性欲だけは旺盛のようだった。彼もまた自分のオリジナルではないところに苦しみ、鬱屈した中から滲み出る哀愁がそうさせたのだろう。

 頑張れ息子というダブルミーニングを思いついたのも、スピーチにおける妻を称える言葉も全てがダブルミーニングに思えたから。辞世の句とまではならないが、彼のそのスピーチが人生における最高傑作だったのかもしれません・・・

kossy