「少しホラーのようでもあり」人魚の眠る家 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
少しホラーのようでもあり
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わが子の突然の「脳死」にどう向き合うのか。痛切だが単純で面白味のない展開になりそうなテーマを、最新科学と絡ませて少しファンタスティックなテイストに仕上げている。二人の盲目的に突っ走る人物がいる。娘の死が受け入れられず、なりふりかまわぬ愛で周囲から浮き上がる母親と、自分の科学技術の意義を信じ、少女を実験道具としてしまう研究員と。物語は二人に引っ張られながら、一方でそれを引き留めようとする良識ある人たちとの葛藤でもある。母親には夫であり、妹や母などである。研究員には恋人であり、社長であったりする。このあたりの人のバランスがとても良く、うまい具合に納まるべき所に話が納まる。何も問題が解決したわけではないが、最終的には娘の優しさに全員癒されてなんとなく解決したかのように思わせられるそんな映画でした。
この作品で注目したのは、まず坂口健太郎である。一途な理系男子がとてもよく似合う。そして娘役の稲垣来泉は「この世界の片隅に」の晴美以来であるが、控えめで稀有な可愛らしさがある。
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