「死の尊厳について改めて鋭く問い掛けられたように思いました」人魚の眠る家 ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)
死の尊厳について改めて鋭く問い掛けられたように思いました
脳死に陥った娘を特殊な技術で生きているように見せることに執着する母親とその家族たちとの愛と葛藤を描くヒューマンタッチの近未来フィクションドラマ。技術が進み、多種多様な延命治療が可能となった現在、人の生死の境が徐々に曖昧になってきているのかも知れません。そんな中、この作品で描かれているような「延命治療(工作)」はまだ実用化されていないとは思いますが、ひょっとしたら案外近い将来実現するかも知れません。そうなると、本当は死んでいても、周囲の人間が「死んで欲しくない」と望めば、あたかも生きているかの如く肉体を維持し続けることも可能になってしまう。そんな社会に生きてみたいと私たちは思いますか? そんな風に生かされたいと私達は望みますか? この作品はそのような問いを改めて投げかけてくれているように感じました。篠原涼子さんが「痛い」母親を熱演。終盤に近づくにつれ、話がドンドンエスカレートして行くだけに最後はどう着地するのか気を揉みましたが、作中の伏線を見事に回収して大団円に持ち込む監督の演出もお見事でした。
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