「難しいテーマ」人魚の眠る家 ちゅうみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
難しいテーマ
プールの事故で脳死状態になった娘と両親、周囲の人間模様を描くヒューマンドラマは、医療や科学の進歩と同時に、私たちに倫理観を問うているかのようでもありました。
脳死、心臓死、臓器提供etc.に加え、現時点では神の領域だろうテーマが切なく、それぞれの葛藤や、ちょっと衝撃的な展開にも息を呑みました。
ただこの状況、この環境で同じような提案や選択肢があったとしたら、藁をもつかむ思いで″やってみたい″と思うのが普通の感覚のような気もします。
いきなり目の前の大切なものを奪われて、ただでさえ普通の精神状態ではないのですから。
そして、その結果、心が壊れかけてしまうのも、これもまた十分に考えられること、誰にでも起こり得る事なのだと思いました。
そういう怖さや危うさがあるのが人間なのだという想いの反面、限りない優しさも秘めた作品、映像的な見せ方も完成度が高く、堤監督らしいジャンルを超えた面白さを感じました。
原作者自身もそうですが、″涙がとまらない″みたいなプロモーションで、実際途中からすすり泣く声も聞こえてきて、ラストは号泣した方も多かったようですが、私は泣くことはなかったし、そういうタイプの作品にも思えず、これには少々違和感を感じました。
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