ロンドン、人生はじめますのレビュー・感想・評価
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『若葉の頃』の50年後
実話に基づくそうだが、所詮、おとぎ話。
墓場での昼食場面は、『小さな恋のメロディー』の一場面。『若葉の頃』が流れる墓場で、二人でリンゴを食べるシーン。その50年後だ。
老人同士の愛、恋、SEX はあまり美しく感じない。勿論、僕の個人的見解。映画にする程の事じゃないだろう。そう云う事は若いうちに済ませて、後は孤独に一人で過ごしたい。社会と関わりを持つなら、個人的な関わりでは駄目だと僕は考える。何故なら、愛する人は、どちらかが先に天に召される訳で、その時の喪失感が僕には耐えられない。
まぁ、この映画も概ねそう云う事を言っていると僕は感じた。やっばり、酸いも甘いも分かっているわけだから、お互いの立場を譲る事は出来ないと思う。
ブレンダン・グリーソン祭開始(ニッチすぎる)
『ミスター・メルセデス』でブレンダン・グリーソンにハマったので祭を始めることにした。
『マイ・ルーム』公開時以来だから20年振りにダイアン・キートンを拝見した。年はとったけど相変わらずチャーミングだ。無理しすぎてないけど若々しく見えるファッションもいい。ブレンダンも着替えたら渋ーいおじ(い)さまに大変身。あと近所のボスおばさまが加賀まりこさんかと思ったら、『ファントム・スレッド』のお姉さん(レスリー・マンピル)だった。
お話は…シネスイッチ銀座でかかりそうな映画、って何言ってるか伝わらないか。
どっちつかずでグズグズして目の前の問題から目をそらし続けてしまっていた女性が、前へ進み出すというのが話の肝かなのだが、終盤の二人の今後のところはちょっとそれどうなのと疑問にも思ったが、ドナルドが過去に囚われて閉じこもっているのも、その通りに思えたので、あのエンディングなら許容範囲内だった。旦那の墓に当たり散らすところ好き。
なお途中で彼を家に呼んでいい雰囲気になっていくので、もしやベッドシーンかなとワクワクしたら、事後のシーンにとんでいてずっこけた。いやいいけどね。いいんだけどね。ダイアンではなくブレンダンの水浴びとバスタブで泡泡のサービスカット(違います)は有り。
君の今までの闘いをすべて教えてくれ
映画「ロンドン、人生はじめます」(ジョエル・ホプキンス監督)から。
ハッピィエンドと言えるかどうかわからないけど、
う~ん・・ちょっと予想していた展開と違ったなぁ、が本音。
メモした台詞の中で、輝いていたのは、
まだ、主役の2人が知り合ってまもない頃の会話。
何年もホームレスに近い状態で、手作りの小さな小屋に住む男性は、
多くの嫌がらせを受けながらも、必死で生きてきた。
それを偶然の出会いで知り合った、高級マンションに住む女性が、
いかにもわかったような口ぶりで、彼を諭すように言う。
「立ち退き要求は初めてじゃないんでしょ?
ここで暮らしたいなら闘わなきゃ」と。
その言い方にムッときたのか、彼は毅然とした態度で言い返す。
「君の今までの闘いをすべて教えてくれ。
自らの信条に従って負ったリスクはあるか?
他人の人生にも影響を与えるようなリスクだ」
胸がスッとした瞬間であった。
映画の中だけでなく、私たちの暮らす社会でもよくあること。
経験したことのない人が、分かり顔で言うシーンに出会うと、
私も同じことを思っていたから。
今度から、この台詞、使ってみようかなぁ。
素敵な大人の恋
ブレンダン・グリーソンの恋愛映画って初めて観たんだけど、世間のものさしとは違う自分の信念をもつ、頑固だけど実直な男性を素敵に演じていた。見つめる目の表情やずんぐりした体型がかもしだすかわいらしさがいい。ダイアンも高級な服を素敵に着こなして、見かけはセレブだけど、生活も精神的にもギリギリな女性を演じている。過去のニューヨーク眺めのいい部屋売りますとか、恋愛適齢期もよかったけど、これはロンドンの街並みや自然が美しく私の中では大のお気に入り。ラストは自分もあんなふうに過ごしたいと憧れてしまう。
人生は生涯現役
若いうちは予定調和を目指して頑張るのに、歳を取ると予定調和から抜け出せと言われる。予定調和じゃない人生というのは、良くもあるし悪くもある。人生ってやつは本当に面倒くさい…。
ダイアンキートン演じるエミリーも、NYからロンドンにある高級住宅街に移住し、家族や友達に囲まれて順風な毎日を送っていたが、夫の死去がきっかけで、見えなかった問題だったり、見ないフリをして置いてきた問題と向き合うこととなる。風変わりな隣人ドナルドと出会ってしまったことで、当たり前になっていた毎日は違っていたと気づいたエミリー。社会的身分が全ての英国において、他人に左右されず、お金を持たずに生きている人というのは、さぞや風変わりに映るだろう。こんな人が居たら誰だって好奇心が掻き立てられてしまう。『風変わり』を受け入れるかどうか、というのはまた別の話だが、しかし、こういう次元の生き様で社会への風刺を表現した人が実際にいたというのは、とても斬新で面白い。
人生のターニングポイントというのは誰にも訪れる。その時によぎるのは全ての流れが『変わる』という、うっすらとした予感。でも受け入れることは勇気とパワーが要る。
自分らしく生きたいと思う一方で、常軌を逸することに恐怖を感じる…。人間らしさとはそういうことかも知れません。
エミリーは70代でした。でも年齢の偏見よりも自分の正直な気持ちを受け入れたのです。
人生、紆余曲折あった人にこそに観て欲しい映画です。そして自分探しの途中にいる人にも。きっとダイアンキートンに恋をして、頑張っているエミリーに共感することと思いま
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