劇場公開日 2018年4月7日

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「経済成長の代償として、今の日本がどこかに置いてきてしまったきたもの」港町 h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0経済成長の代償として、今の日本がどこかに置いてきてしまったきたもの

2021年1月16日
iPhoneアプリから投稿

都市型経済が追いもとめる、効率化、合理化とは無縁の世界。
ゆえに都会とは時間の進みかたが全く違う。
モノクロの映像がシンクロして、時間が止まっているかのよう。

想田監督が港町の人びとを観察するだけではなく、観客もカメラを通じてそれぞれのフィルターを通して観察する。
押し付けがましい場面説明やナレーションはないので、何をどう感じるかは観る側の自由に委ねられている。

監督のカメラからみる被写体の姿は、とても自然な表情で印象的だ。
まるで彼らの普段の生活を横から眺めるかのよう。ワイちゃん、クミさん。ほんとうに魅了的な人たち。

牛窓のような港町はどこの地方でもあったのだろうが、間違いなく日本の共同体は崩壊しつつある。子どもたちは昔からの生業では食べていけないため、都会へ出ていく。
残されるのは高齢者ばかり。
地方はどんどん「砂漠」化していく。
そんな寂しさを感じざるを得ない。

atsushi