「とても心地よい映画だった。全編モノクロの作品だが最後のシーンでカラ...」港町 nrmnrmさんの映画レビュー(感想・評価)
とても心地よい映画だった。全編モノクロの作品だが最後のシーンでカラ...
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とても心地よい映画だった。全編モノクロの作品だが最後のシーンでカラーになった瞬間にグッと現実に引き戻される感覚になった。ドキュメンタリーなのだから全て現実なのだけれど、牛窓というワンダーランドから連れ戻されたような不思議な気持ちになった。ワイちゃんは、こんな色の錆びた船に乗ってたのかと感慨深く感じたのは、すでに私が会ったこともないはずのワイちゃんをとても身近に感じさせるような、あたかも、その街に居たのは自分であったかのように感じさせる監督の素晴らしさであると思う。ごく当たり前のことを言うようだが、こうして同じ時代にこんなにも違う生活スタイルがあるのだと改めて考えさせられた。そして絶望感のそれとは違う寂しさや、何となくの居心地の悪さや閉塞感、終末感を感じることによってドキュメンタリーとしてのリアルを突きつけられてる気がした。それでも時間だけは優しく穏やかに流れている。それさえも残酷に感じてしまうが、映画としては出てくる人々の息遣いまで感じられるような温もりのある作品だった。
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