「自分にとっていい映画とは、先の展開が読めない映画だ」15時17分、パリ行き namtokさんの映画レビュー(感想・評価)
自分にとっていい映画とは、先の展開が読めない映画だ
やはり自分にとっていい映画とは、先の展開が読めない映画だと確認した一本である。本当の事件を扱った様子なので、映画の最後のシーンに事件の当事者をちょこっと出すだろうと、見ていたら、ずっと出ていた3人組がサングラスをかけてパレードに参加しているシーンがあった。映画のタイトルから調べてみると、イーストウッドが監督で、実際の事件の当事者を映画に起用したことを知った。なぜ普通のアメリカ人3人組の生活やヨーロッパ旅行の描写を見ていて、自分が目を離せないのかが、監督の意図された描写だからだと理解できた。列車内での事件でも、トイレにこもった人物があやしいと気づいた最初の2人の若者の乗客のほうが、状況判断がすぐれていると思う。ぼんくら3人組は事件に巻き込まれて、事件を知り、特に、空軍上等空兵スペンサー•ストーンが、今まで学んでいた軍隊の日常訓練成果が自然に出てしまって、テロリストを制圧し、負傷した乗客の手当てをしたと、意外と淡々と描いている。監督も大げさな映画撮影テクニックを使っているように見えないが、違うところで、つまり、事件の当事者を多く出演させたり、フランスの事件の起こった場所で同じ型の列車を使って撮影したことが、視ている者の無意識に働きかけ、先の展開が読めないと感じる映画にしているのだろうと思う。
神への祈りの言葉や冗談めいた「人生は導かれている方向に進んでいく」という会話がそれとなく繰り返され、事件でケガをし手当されたスペンサーがプラットホームに準備された車椅子に座り、後から出てくる乗客を観ているシーンなどが、なぜか印象に残った。いい映画だ。