劇場公開日 2018年3月1日

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「タリスとアムステルダム」15時17分、パリ行き hideaquiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0タリスとアムステルダム

2020年10月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

アムステルダム〜パリのタリスには一度だけ乗ったことがある。98年5月のチャンピオンズリーグ決勝、アムステルダム・アレナ。レアル・マドリーvsユベントス。チケットも持っていなかったけれど、パリからアムステルダムへ向かった。

前日にアムステルダムに着き、ホテルのオヤジさんにチケットは買えるか聞いたら、とっくに完売だとそっけなかった。試合当日のスタジアム周辺で、気さくな白人の青年がチケットがあると話しかけてきた。いくらで売ると聞いたら20万円だと言う。そんなに高くて誰が買うのだと聞いたら、イタリア人は買うぞ、あれを見ろと。見るとCDに長蛇の列ができていた。残念だけど手が出ないと言って別れた。ウロウロしているとサングラスをかけた背の低いイタリア人らしきダフ屋から声をかけられた。確か4〜5万円だったが格安に感じられ思い切って買った。喜び勇んで入場ゲートを通ったところでブザーが鳴った。警察官にお前のチケットはすでに入っているのだと言われ、つまみ出された。偽造チケットをつかまされたのだった。ホテルのオヤジさんには、しょっぴかれなかっただけよかったとなぐさめられた。安くないレッスンだった。

その後のフランスW杯決勝のダフ屋相場は40万円だった。誰が買うのか聞いたらアメリカ人とアラブ人だと言う。ダフ屋もクレージーだと言っていた。

この作品で見るタリスは車両もシートも20年前と変わっていない。車窓の風景もほとんど同じ。なかったのは風力発電のプロペラくらい。インターネットはあったけれど、特急列車にWiFiなんて想像もできなかった。まだダイヤルアップの時代で、ホテルの部屋の電話にパソコンをつなぎアクセスポイントに接続するのに苦労したことを思い出す。電話代が心配で、もっぱらニフティサーブでテキストで情報を得ていた。

あのころ国際経済はグローバル化以前、通貨のユーロも導入前だった。パリもヨーロッパも旅をするのに何も不安を感じなかった。偽造チケットくらいだった。いい時代だった、と言えばいいのだろうか。

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hideaqui