「破天荒な天才が投じる日本社会への問題提起」響 HIBIKI みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
破天荒な天才が投じる日本社会への問題提起
予想より深味のある良作だった。本作は、15歳の女子高生である天才小説家の破天荒な生き方を描いているだけではない。天才と秀才、天才と周囲の人々を対比させることで、組織重視の日本社会への問題提起をしている。
本作の主人公は、天才的な文才を持つ女子高生・鮎喰響(平手友梨奈)。彼女は、ある雑誌に自作小説を投稿する。雑誌社の花井ふみ(北川景子)は、響の才能に惚れ込み、彼女を多くの人に知ってもらうために奔走し、芥川賞に挑んでいく。響の同級生である祖父江凜夏(アヤカ・ウィルソン)も芥川賞を狙っていた。売れない小説家・山本春平(小栗旬)も芥川賞に挑み続けていた。そして、破天荒な言動で紆余曲折はありながらも、ついに響は、芥川賞受賞者発表日を迎える・・・。
平手友梨奈の演技が出色。呟くようなしゃべり方と独特な佇まいで、常人とは異なる価値観を持つ天才少女を演じ切っている。ストイックで、何かに挑むような鋭い眼差しが印象的。彼女が際立っているのは、生真面目な秀才タイプの祖父江凜夏、山本春平、典型的な組織人である花井ふみの存在感が奏功しているからである。彼らは、組織の枠組みのなかで必死に戦っている。しかし、彼らの名声への拘りが彼ら自身を苦しめている。
響の台詞は常に単刀直入であり、配慮、気配りはない。それ故に、彼女の台詞が我々の心にストレートに響く。我々が日頃、如何に組織の中で周りに気を配っているかが良く分かる。響は名声に興味を示さない。彼女は、ストイックに自分が納得できる小説を書くことを目指している。しかし、彼女の考え方は、自分だけが良ければいいという利己主義ではない。彼女は他者の個も守ろうとする。組織や人の和を重視する今の日本社会で彼女の考え方を貫こうとすれば、当然、衝突が起きる。彼女の傍若無人振りは、その象徴である。過激だが説得力のある響の言動は、組織重視の日本社会への警鐘として受け止めるべきである。
今晩は。
今作、実はアイドルに詳しくない私は当時デカデカと貼られたポスターを見て”何か、インパクトあるビジュアルの女優さんが出て来たなあ・・、”と思いながら、監督が月川翔さんだったので、同じく劇場で観ました。
で、家に帰って”何か凄い女優さんが出て来たよ‼”とコーフン気味に夕食時に当時高校生だった息子に言ったら呆れた顔で”父さん、それはね、今ムッチャ人気のあるアイドルグループのセンターを務めている人だよ‥”と言われ、秋元さんがあまり好きではなかった私は絶句したのでした・・。見る眼あるじゃん!と・・。
閑話休題。
みかずきさん、前のサイトで多数レビューを書かれていると思うので、少しづづこのサイトでレビューアップして頂けると有難いです。
拝読させて頂いていて、とても参考になるので。では、又。