「原作に忠実」響 HIBIKI いちさんの映画レビュー(感想・評価)
原作に忠実
平手さんじゃなくて、響として生きるもう一人の平手さんを見ているようでした。
原作を忠実に再現していて、でも原作ではわからない響の心情が伝わってきました。やっぱり平手さんは目の演技上手だと思いました。ひとつ残念だったのは、ゴスロリをリカから貰ったことになっていたことです。
有名な作家さんと握手するシーンでは、自分の手を嬉しそうに見つめているのが可愛らしかったです。握手した作家さんも照れて自分の手を見つめていて。響も温かい目で見守っていてほっこりしました。
最後のシーンについては賛否両論あるようですが、観客に謎を残していく感じが私は好きです。響が乗ったパトカーも景色に溶け込んで、結局夜景の一部になっていて、そこがエンドロールに繋がっているのかと。
パンフレットの歌詞を読んでからエンドロールを聴きましたが、もっとやさしい、というかもっと脆い、細い声だと思っていました。綺麗な声でした。特に、 何で泣いてんだろ のところ。
揺れる心というより、もがく様子が伝わってきて、天才の心の叫びを聞いているようでした。映画では悩みもせず自分の信念を貫いているけど、本当は悩んでいるんじゃないのかと考えさせられました。映画の中で描き出せなかった響の心の中なのかもしれません。
すれ違う人がいて落胆してるのに、気づいてもらえなくて一人きりで角を曲がる、そんな矛盾も、悩みも聞こえてきました。
一面だけ見られて天才だと決めつけられる、なんて誰も望んでいないと思いました。多面的に見ていかないとな、と感じました。
ふみへのメッセージかと少し思いました。
エンドロールで号泣してしまいました。
「らしさって、一体何?」その答えも、曲げられないほどの自分も、私にはないと思わされました。自分を洗い出して、「自分らしく」について考えてみたいです。