「上手く言えませんが幻滅です」響 HIBIKI Loserさんの映画レビュー(感想・評価)
上手く言えませんが幻滅です
原作が好きな自分にとっては、良い所をカットし、平手さんを売り出す為だけの映画を見せられただけ。
「どう?平手さんって響にピッタリでしょ?」
って、全面に押し出してるだけの映画。
原作の良い所、響や他の登場人物の良さがまったく反映されていなかった。
神田編集長の設定。
あんな金の亡者みたいなキャラ設定になぜしたのか理解し難いし、それこそ映画を駄作に仕立てあげた一因であると考える。
よくある嫌味なおっさんではあるけど、暴力ごときで天才的で、文学史に名を残す響の作品を出版しないと言い出す人ではない。
そもそも、原作には響の作品を出版しないという流れなんて微塵もない。
なぜそんなくだらないストーリーを足したのか理解に苦しむ。
くだらないストーリーと言えば、響が週刊文衆の記者に突然の取材を受けるシーン。
カメラを車道に投げつけトラックに轢かせ、壊すシーン。
までは良かった。
その後、なぜトラックの運転手が降りて来て記者を脅すシーンがある?
そんなものは原作にはないし、どーでも良いシーンでしかない。
あんなものは必要ない。
その続きとして、記者の家に乗り込むところ。
記者の息子の写真を手に交渉する響。
取材対象者の恥部をさらす事を生業としているハイエナのような記者が、息子の話をチラッとしただけで、記事を書かないと言い出す?
ありえない。
色々が中途半端。
映画開始の数分。
響が手書きで書いた原稿を運ぶシーンであったが、あれも意味がわからない。
平手さんをただ推すという映画の内容なのであれば、響(平手さん)のドアップから始まり、小説を読むシーンを流した方が効果的だ。確実に。原作にはないシーンではあるけど、小説が好きな響を少しでも表現できると思う。
まだ言い足りない。
響と涼太郎の関係性。
薄っぺら過ぎる。涼太郎は一歩間違えたらストーカーと言われても仕方がないくらい響を愛してる。その想いが全くもって描かれていない。
あれじゃただの友達だ。
タカヤと響が初めて会うシーンも中途半端。
タカヤの指を折るまでは良かった。
ただ、大切なのはその後でしょ。
タカヤが殺すぞと言ったから、響はペンを持って本気で殺意に応え、タカヤを本気で殺すように構える。
そのシーンがあってこその響だ。
部員に花代子が出てこないのもありえない。
これが平手さんだけを売り出すという印象を受けた一因でもある。
原作は響と涼太郎の関係性だけでなく、タカヤと花代子の関係性や、神田と祖父江秋人の関係性。
山本春平や、豊増幸の背景、鬼島の苦悩のバックグラウンドがあってこそ響の暴言や暴力がただの暴走ではない事が言えるのだ。
そして、響が鬼島へ言うセリフ「だったらなぜ生きてるのかなって...」を言わない。
そこまで言ってこそ、響が小説に対する想いが表現されているんじゃないのか?
長々と持論を書き綴ってしまったけど、とにかく平手さんが好きな人は観て良かったと思うし、原作が好きな方にはまったく楽しめる映画ではないと私は思う。
最後に。
こんな映画を撮った監督や脚本家に言いたい。
こんな中途半端な作品を作って、生きていて恥ずかしくないの?
作る上で、リカがふみに色々言われたみたいに、周りから色々言われたのかもしれないけど、最終的に駄作を作ったあなた方が悪いんだ。
良い作品を作る気がないのなら最初から作るな。
良い作品が作れないのならなぜ生きてるのかなって。
以上です。