「対比」フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
対比
社会派な作品だった。
様々なものが双極であるかのように配置されてた。
ディズニーランドのあるフロリダ。
そのお膝元のモーテルで貧困に直面する母親と娘の物語。
印象的だったのは子供の明るさと逞しさ。
母親にも事情はあるだろうが、褒められたもんでもない。第三者的にみたら「毒親」と分類されてもしょうがない。
彼女の行いは褒められるものではないが、娘との絆は強かった。
ただ、まあ、子は親の背中を見て育つ。
良くも悪くも親の影響を多大に受ける。
彼女の世界には一般常識なんてものはない。
母親がルールで、善悪の基準だ。
娘は口も悪く、素行も悪い。
果たしてこの映画のラストは、どお捉えるべきか…。
娘は、児童保護法の元、母親と引き離されるのだが、当然嫌がる。
何より不安だろう…今までとは違う何かに飛び込むわけだ。彼女にとっての全てを奪われる。でも、正常な家庭ではない。
引き離すのがベターなのだ。
彼女はその手から逃亡し、親友の家に駆け込む。でも、その理由を告げられない。
異常な環境である事を気付きながら、母親から離れられなかった。
親友は彼女の手を取り、駆け出す。
向かった先は、ディズニーランド。
小さな子供が走っていける距離に夢の国はある。想像もつかない世界が広がってるのであろうし、今まで生活が異常だったという事実を夢の国で突きつけられるのかもしれない。
娘は母親と決別する勇気を持つのだろうか?
それが答えなのだろうか?
それまでの時間には、母親に疑問を抱きながらも笑ってる娘の姿がある。
作品のメッセージに矛盾を感じながらも、致し方のない現実と比較すれば、この矛盾こそがテーマなのかとも思う。
こおいう現実があるのです。
そおいう認識だけした映画だった。
なもので…後味は悪い。
ただ…子役のレベルがすこぶる高い。
母親が売春してる最中、その相手と蜂合わすのだが、その時のリアクションったら…どおやってアレを引き出したのか。
その辺はホントに魔法のようだった。