「ラストについて思い込みがあり、訂正させてもらいます。」ファントム・スレッド 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
ラストについて思い込みがあり、訂正させてもらいます。
この映画を観ると、クリント・イーストウッドが主演したドン・シーゲル監督の「白い肌の異常な夜」を思い出します。
愛を無害化し所有するために女性たち(又はアルマ)が、
キノコの毒を使い「白い肌・・・」ではクリント・イーストウッドの
太腿から下を切断することにより脱走を不可能化して、
女の園に幽閉してしまうのです。
「ファントム・スレッド」では、キノコの毒を食べさせて、我儘で横暴な男を
従順で無害な存在に変えてしまう。
「愛の貌(かたち)」としてはとても恐ろしいし、悍ましい。
「ファントム・スレッド」を久しぶりに観返したく思ったのは、
ボール・トーマス・アンダーソン監督の最新作
「ワン・バトル・アフター・アナザー」
が公開されてそれを観たからだと思います。
「ワン・バトル・・・」はオートクチュールの美しいドレスとは、
程遠い世界を描いている。
登場人物は粗野で滑稽おまけに追っかけアクション映画である。
だがむしろ「ワン・バトル・・・」の方がPTM監督らしい。
どうしてもひと針ひと針美しいドレスを仕上げるオートクチュールの世界と
PTM監督が結びつかない気がする。
「ファントムスレッド」では、女の支配欲により破滅させられる男の悲哀、
「ワン・バトル・・・」でボブ(ディカプリオ)は女闘士(クィーン)に
チェスの駒のようにあしらわれる。
強く恐ろしいのは【女】
なのでしょうか?
25年10月21日
訂正させていただきます。
きりんさんとのコメントのやり取りで、私がラストへの思い込みが
間違いであることに気がつきました。
私はラストを、アルマはキノコの毒入り料理をたべさせることで、
レイノルズは廃人に変わり果てた。
そう見えていたのです。
でも今回、ラストで、アルマは乳母車を押しています。
その傍ではレイノルズと姉がベンチのそばで笑いながら乳母車を見つめています。
そこできりん、さんの言葉です。
★特典映像には、アルマの押す乳母車にレイノルズとの子供が乗っていて、
ハッピーエンドらしいとの証言を頂きました。
あー、なんと言う失望でしょう。
レイノルズが田舎娘のアルマに押し切られて家庭の幸福を
手に入れたなんて。
あまりに平凡なラストに声もありません。
本編のラストに乳母車の赤ん坊を写さなかった。
これが映画のラスト。
なんと感じようと、ご勝手に・・・と言うことでしょう。
琥珀糖さん、コメントありがとうございます。あのきりりとした方は姉ではなくて、妹でした。私の思い違いだと思います。
最後はあってもなくてもいいシーンで、本当、事実、でもいいし、アルマの願望や夢、でもいいし、監督の「こういうのはだめ?いい?」でもいいかなと思ってます。私にとってはプロセスが大事で結果は・・・この映画に関しては何でもいいかな。とにかくアルマが一人で語る、語る。その語り方だけでもう私は私なりに「わかった」と(勝手に)思いました、幸福な思いと共に
ギャォー!大好きな映画!最後は彼女の夢か妄想か?あるいは、こういうこともあり得たか?でもあり得ないよ~ん!なのか・・・今だにわかりません。でも彼女が一人語りの時、彼はもう居ない、と私は思った・・・
はい。
DVDでは赤ちゃんの乳母車を押しているレイノルズがチラッと映ってね、笑っちゃいました。
あれ、本編の最後かエンドタイトルで少し見せてくれたら良かったのになぁ。編集のときの判断で敢えてそこを外したのだと思いますが。
だから「すごーく平凡に物語が終わった事に」僕は逆にとても感動したのです。
皆さんのレビューやコメントがそれぞれ独自色で楽しいですね。
たくさんの受け取り方が出来るからこの作品は後世に残せる名作なのだと思います。
僕は「レイノルズは年輩者の余裕余裕で、若い妻をニコニコ笑いながら受け入れたなぁ」と とっても感心しました。あの広い心を御手本に、自分もかくありたいと思った次第です(笑)
ではでは☺️


