「「差別してません」という差別」ザ・スクエア 思いやりの聖域 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
「差別してません」という差別
面白かったなぁ
アートというのは、作品を創作した者も、その作品を展示する者も、それをしたり顔で理解した風な観客も、所詮、自己満足であり、そうやって人は他人を見下し、差別化しているのだと訴えかけくる作品だった
スウェーデンのコペンハーゲンにあるX-ロイヤル美術館では「ザ・スクエア」という作品を展示する
それは、ただ、床に描かれた正方形であり「この四角の中では、人はみな平等。ここは思いやりの領域です」という
そこで、私は思わずツッコミを入れてしまう
「人々が平等なのは、その小さな四角の中だけなのか!」と
もしも、社会が本当に平等ならば、そんな「領域」は必要ないのに
なぜ、その「領域」か必要なのか
それを「アートだ」と言って展示している人たちこそが、貧乏人を見下していて、そのアートの存在こそが、傲慢なのに、誰もその異常さに気付かない
この映画では、主人公で、美術館のキュレーターであるクリスチャンが、そんな「平等な社会」の理想と現実に気付くまでの物語である
そして彼が世に送り出した芸術は爆発する
現代においては
アート作品を発表し、それが反感を買い、ネットで炎上し、名前が売れるまでの全てを含めて、その全てがアーティストによるパフォーマンスなのである
これは、批判されればされるほど、作者の名前が売れ、知名度が上がるという現代を見事に描いた作品だった
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