「人殺しは殴っていい! byマ・ソクト」犯罪都市 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
人殺しは殴っていい! byマ・ソクト
今週末公開のシリーズ最新作「犯罪都市 PUNISHMENT」の前に、未鑑賞だった第1作を観てみました。これ以降、続編が作られてシリーズ化されるのも納得のおもしろさでした。
ストーリーは、ソウルの衿川警察管内で地元暴力団同士の抗争事件が起き、そこにさらに最近ソウルに進出してきた“朝鮮族”と呼ばれる中国マフィアの暗躍が加わり、街中に恐怖による支配が広がる中、マ・ソクト刑事が仲間とともに型破りな捜査とハッタリと腕っぷしで悪党どもを叩きのめしていくというもの。
もうなんといっても、本作のおもしろさはマ・ソクト刑事の魅力に尽きます。とても刑事とは思えないふてぶてしさ、目的のためなら手段を選ばない捜査、暴力団を手なずける悪辣ぶり、組織に縛られない奔放さ、それら全てが許されてしまう人柄!まさに豪腕!豪胆!豪傑!これを我らがマブリーが演じるのですから、おもしろくないはずがない!
そんなマ・ソクト刑事と仲間たちが随所で魅せる、とぼけた態度がまた楽しいです。中でも取り調べシーンは最高です。“真実の部屋”は1作目からあったんですね。仲間との連携もよく、往年のドリフのコントを観るような楽しさがあります。こんな非合法な刑事たちに囲まれた新入り君が、逃げ出しそうになりながらも少しずつ感化されていく、そんな成長譚としてのサイドストーリーも悪くないです。
韓国映画を観始めたのはここ数年のことですが、犯罪者が行う暴力シーンは毎回えげつなく、本作も同様です。序盤から血まみれのグロシーンがあり、目を背けたくなります。でも、おかげで悪党のクズっぷりが際立ち、最後にボッコボコにされる爽快感が得られるので、構成としては必要なシーンなのでしょうね。実際、中国マフィア3人組のヤバさはハンパなく、女、子供、年寄りにまで容赦なく暴力を振るう、とんでもないヤツらです。特にボスのチャン・チェンの非道っぷりに観客の憎悪ボルテージはMAXに達しているので、ラストでのマ刑事との格闘は大興奮です。できれば、もっとギタギタに叩きのめしてほしかったし、マ刑事が手こずることなく圧勝でもよかったのではないかと思います。
ちなみに、本作のマ刑事は張り手が多かったですが、次作以降はパンチの印象が強いです。私は断然メガトンパンチ派なので、最新作も期待しています。
主演はマ・ドンソクで、彼の魅力がそのまま作品の魅力になっています。脇を固めるのは、ユン・ゲサン、チョ・ジェユン、チェ・グィファ、チン・ソンギュ、パク・ジファンら。中でも、ユン・ゲサンの外道ぶりがいい味を出しています。