「宇宙開発モノにハズレなし(私見、たぶん例外有り)」サリュート7 Chuck Finleyさんの映画レビュー(感想・評価)
宇宙開発モノにハズレなし(私見、たぶん例外有り)
やはり潜水艦モノと同じ極限×限定空間なのでハナシが締まるのでしょう。基本的に宇宙空間描写が違和感なくハリウッド同等に美しく、SFX好きも充分楽しめます。
ただ本作で私は吹き替え版を見たためか、親しいロシア人飛行士の雑談や宇宙技術的やりとりが、少々単に粗野な野郎の会話や古臭い機器の操作説明みたいに聞こえるような気もしましたが、たぶん豪気なロシア文化とお堅いソ連への先入観からの私の勘違いでしょう。
また同カテゴリの名画としてどうしても「アポロ13」と比べてしまいますが、作風(あちらは宇宙開発魂、こちらはロシア人魂)や趣旨(あちらはチームワークと英知、こちらはロシア人魂と火事場の思いつき)が全然違います。
寧ろそこがこの映画の楽しみどころなので文句は言えませんが、ただそのお陰でどうしても1970年米宇宙船・ヒューストンより15年も後の1985年のソ宇宙ステーション・バイコヌールのほうが恐ろしいほど技術が遅れていて雑でルールもいい加減に見えてしまいます。あれがリアルなら、あんなアバウトな宇宙プログラムで事故や犠牲者が米国より何倍も多いのも無理はない…。
実際のサリュート7サルベージミッションがどういったものであったのか、ググってもあまり情報が無いので映画描写の正確性や盛りの程度が分かりませんが、本当なら実にすごい大冒険で、飛んだ飛行士はまさしく「宇宙英雄」と呼ばれるに値します。彼らなら、仮にアポロ13号に乗って同じ事故に見舞われても、無事帰還どころか勝手に修理して月面着陸までこなしそうです。その意味では比較対象は「アポロ13」よりも「スペースカウボーイ」のほうが妥当かも。
もっと楽しめるように、ちょっとロシア語勉強して字幕版を見てもう一度評価したい作品です。ムリか。